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40にしおりをはさみました!
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40
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≪相田さんへ
相田さんは神社の夏祭り行きますか?
僕と日崎、隣のクラスの前川と橋元でバンドを組んでて、夏祭りで演奏するんだけど、よければ見に来ませんか?≫
何度も読み直して、小学校の漢字ドリル並みに綺麗な字で書いた。
"隣"とかの漢字も不安になって何度もスマホで調べた。
「来てくれたらいいな」
何分も握りしめていたシャーペンを置いて、"わたがしモンスター"の案に≪俺もそれでいいと思う≫と返信する。いつの間にか前川と橋元もマシュモンを認めてくれてたみたいだ。
席につくといつも通り斜め前に相田さんがいて、その向こうに日崎がいた。
『北田は相田さんのこと好きなの?』
──あのときの日崎の言葉。差し出しかけた手が中途半端なところで固まる。
正直好きなのかわからない。もちろん人としては好きだけど、恋愛対象として好きなのかはわからない。
だけど、相田さんを誘うには"来てほしい"と思う。それだけで十分だった。
教師が廊下側の席を歩き始めたから、咳払いをひとつ。
そうすると、相田さんの細い腕がすっと伸びる。
机の脚の隙間からそこに大事に渡す。
少しだけ手が触れ合う。
教師がこっちの方に来たから相田さんはメモを筆箱の下に隠す。
いつもは片面しか書いていないメモの表面に、気づきやすいように大きく書かれた自分の名前に気がついた。
隣を通る教師を、考えてるふりでやりすごし、すぐにメモを確認した。
緊張が身体中を満たす。
そして彼女は自分の筆箱から新しいメモを一枚取り出し、なにか書き込んだ。
少し考える素振りを見せて少し書いてから、シャーペンを置いた。
彼女の一筆一筆が俺にはとてものんびりしたものに見えて、すごく焦らされているように感じた。
一瞬だけ相田さんの奥で珍しく真面目にノートを取っている日崎にピントが合った。
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