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47
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長い長い校長先生の話が終わり、終わったかと思えば生徒指導の先生から毎回聞かされる話を聞かされ、なんだかんだで1学期が終わった。
「よっしゃーー!」
両腕を振り上げて廊下を全力疾走する男子たち。
よくそんな体力が余ってるものだと感心する。
「またね、お祭り楽しみにしてる」
「ありがとう、またね」
笑顔で手を振った相田さんも友だちと一緒に教室を出ていった。
なんとなく帰るタイミングを逃してしまった。
いつの間にか教室には俺と、日崎だけ。
なんだか──
「初めてしゃべったときみたいだな」
俺が言ったわけじゃない。日崎の言葉だ。
「俺もそう思ってた」
エアコンの効いただるい空気に笑い声が混ざる。
どちらからともなくリュックを背負い、俺らも教室を出た。
教室にはエアコンの機械的な音と、俺らが残していった笑い声だけがあった。
「北田とは毎日会うからあんまり夏休みって感じしないな」
「北田体操皆勤賞いけるよ」
「皆勤したら何もらえんの?」
「俺の写真」
暑すぎて会話のレベルも低下してくる。
それでいて、もう何をやっても面白くなってきて、俺らのうるささは蝉と良い勝負をしていた。
「じゃああとで公園で」
「オッケー、北田体操考えようぜ」
もはや脳で判断してしゃべってるわけじゃない。耳からの情報を2割だけ聞いて、口が勝手にしゃべってるのだ。
あまりの暑さにコンビニでアイスを買うことにした。
「生き返るー!」
涼しい空気を目一杯肺に流し込む俺らに事務的に「いらっしゃいませ」と言った大学生が羨ましい。
「二人だしパピコ食べる?」
「オレ桃がいい」
本当は違う味がよかったけど、言い合う気力も勿体なくて素直に桃にした。
公園は日陰が多くて思ったより涼しかった。
「北田体操第一!」
今日の日崎のマイクはパピコの殻になった。
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