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白猫にしおりをはさみました!
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白猫
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「------ん、…」
意識が戻るとそこはまたスタッフルームだった。
狭い部屋で机の脚がすぐ横に並んでる。
「起きたかよ、クソ猫」
声のしたほうを見上げると、白猫がペットボトルの水を飲んで立っていた。
「シロ…」
「仕事中にトぶんじゃねーよ。その後の相手全部俺がやらされんだからな」
「…!シロ、ごめ…」
「今までだってそうなんだろ?クロに全部尻拭いしてもらってんの、わかってる?」
「え…」
初めて狼に捧げられたとき、おれは一発で意識を失って。その後はどうなった?
路地裏で人間に襲われたときも、紫音が身代わりになって…
おれが折檻を受けていたとき、紫音はケガの手当てもせずに何をされてた?
「し、おんが…全部…?」
おれだけが苦しいと思ってた。
紫音はおれを見放して、傍観して。
裏切られたんだって…勝手に…思っ…
「紫音が…おれのせいで、ひどいこと…され…っ」
「やっとわかったかよ、ほんと苛つく」
ガンッ、と大きな音を立てて白猫は持っていたペットボトルを机に打ちつけた。
「今クロを守れんのはお前しかいねーんだよ!甘えてんじゃねぇ!!」
白猫はおれの胸倉を掴んで怒鳴った。
ビリビリと頭に響いてその凄みに気圧される。
白猫は手を離すと立ち上がって部屋を出て行った。
しばらくそこで呆然と過ごした。
今までの紫音の態度を思い出して、身体の傷を思い出して合点がいく。
いま紫音は何をしているだろう。
おれがうまく仕事できないと、紫音がとばっちりを受けるんだ。
おれは自分のことばっかりで、そんなこと考える余裕なんてなかった。
紫音も、シロも、自分たちだって苦しいはずなのにおれのことかばって…
「ばかだ、なんだよおれ…かっこわる…」
シロは紫音を救うと言っていた。
救える方法があるなら、おれだって紫音を救いたい。
もう守られるだけのおれでなんかいたくない。
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