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「おれ普段真面目よ? 優等生だし」
「そうなの?」
「うん。だから……疲れちゃう」
「…………」
「あのさああのさあ、なんて呼んだらいい? ずっと考えてたんだけどさあ、いいのがなくて」
「呼ばなくていいよ」
「呼びますけども?」
「……もう来ないで」
優しく言ったつもりだが、まるごと無視された。
「やっぱ本読んだおれからすると名探偵礼介あるいは目解先生な訳ですよ。でもおれも目解だし、今は貴方、名探偵じゃないし、困るじゃん?」
「困らないよ?」
「礼介さん?」
「その呼び方は本当にやめてくれ」
「じゃああだ名つけようよ。おれはねぇ、」
「どんぐり」
「やだ。もうちょっとかっこいいのがいい」
「たとえば?」
「りんたろう」
突拍子もないことばかり言う子供は自由奔放そのもので、しかも本人は真剣なんだからどうしても可愛いと思ってしまう。子供は可愛い。子供は可愛かった。あの子は。あの人は。
やっぱり駄目だ。
誰かと関わりたくない。
「……君には目解幸多という立派な名前が、」
「りんたろうがいい」
「どこから派生した」
「由利麟太郎のりんたろう」
大昔の推理小説を知っているのには驚いた。意外と本を読む子なのかもしれない。
「あ、でも漢字はあれね。麒麟の麟じゃなくて不倫の倫」
「倫理の倫ね。物騒な説明するなよ」
「んんん。麒麟って漢字書ける?」
「書けるよ」
「へえ」
「……架空の名前なのに漢字なんて気にするのか」
「おれは書けないもん。やだ」
「そう」
「貴方は? なんて呼ばれたい?」
「……あだ名なんて要らないです」
「なんでよ、楽しいじゃん。江戸川乱歩とエラリークイーンとアガサクリスティとポアロどれがいい?」
「作者と登場人物が混ざってる」
「あ、礼介くんなんだから耕助くんでどうだろう」
「金田一?」
「着物っぽい格好してるし。おうちノスタルジィだし」
彼はぐるりと周囲を見渡す。
「…………礼介でいいです」
「礼介くん?」
「好きにどうぞ」
「やったー」
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