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「これ写真撮ったの、だあれ?」
「……シヅさんだよ」
「へえ。それにしては視点高いけど」
「床に段差があるんだよ」
妙なことにはすぐ気付く子供に、適当な嘘をついておく。彼女の話は作中には出てこない。現実は物語ではないのだ。罫は架空を用いて辻褄を合わせ、彼女が現実で果たしたことの代役は、だから男だったり犬になったりした。まるで七変化ね、と、ある人物から身を隠さねばならない彼女は、微笑んでいた。
「ていうか、かっこよ。え、やば。やばたにえん。礼介くん、昔こんなだったの」
「そんなもんだったよ」
「いやいや、なんか小説と違くない?」
「小説はあくまで小説」
「貧弱モヤシかと思ってた」
「…………………」
「これは違うでしょ。こんなん青春時代にいたら初恋泥棒じゃん。泥棒じゃん礼介くん」
「人聞きの悪い……」
「モテた?」
くだらない方向に話がいきはじめたので、僕はわざとため息をつく。彼の手から本と写真を受け取って、また棚におさめる。知らなかった。彼女が写真を残しておいたのか。罫が大切にここへ隠したのか。
「……モテないよ」
「だよね。あ、ていうか、罫くん居たもんね」
「……………………どういう意味だ」
「相思相愛的な」
「親友として」
「恋愛として」
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