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お着替えの間でおれは礼介くんをガン見する。クローゼット代わりの和室。
「気になってたんだけどその服は和服なの。洋服なの」
「どっちでもない」
「すげぇゲスい質問していいっすか」
「駄目」
「……………下着の洗濯は誰が」
「むこう向いてて?」
「あっ、嫌です」
「うん?」
「嫌ですぅ」
だって構造知りたい。なんならおれが脱がしたい。礼介くんは困った顔をして、帯をとく手を止める。帯はちゃんと帯なんだ。ベルト式じゃないんだ。カポッてはめるタイプのが楽だと思うけどな。いちいち巻いて結ぶの、おれだったら面倒。
「お手伝いします」
「…………一人で着替えられます」
「あーたまたそういうこと言うて。一人じゃなんも出来んやろがい。お母さんに任せなさい」
「じゃあこれしまって。むこうからベルト取ってきて。黒いやつ」
任された。帯をくるくる畳んで、長いものまとめてある棚のほうへ行く。ほんと贅沢な暮らしぶり。世の中には働きたくなくても働いてる人がいるというのに、働きたくない人が働かない……働かなくてもいい…………ええと、働く…………なんだっけ。まあいいや。
くるりと振り向いたら既にほぼ着替え終わってた。畜生見逃した。あとでサブスクで配信しやがれ。
スーツスタイルの礼介くんはガン見しても仕方ないと思う。細すぎ大臣。回し蹴りかましたら折れそうな腰。脚長おじさん。袖のボタンとめてる仕草ってえっち。
「礼介くんめっちゃ普通の服持ってるんじゃん」
「スーツぐらい持ってるよ」
「お高いんでしょう?」
「それなりにね」
昔のだから型が古いけどね、とか言われて、ちんぷんかんぷんわからんぷん。おれからベルトを受け取って、ぐるりと通す。頭がガンガンする。心臓はドキドキしてる。なんでおれのこと呼んだの。なんでスーツに着替えてるの。なんで今日はそんなピンシャンしてるの。いつもは背骨ない生き物みたいにふわふわでぼやけてるのに。まさか名探偵目解礼介、復活?
…………そんな未来、望んでない。
おれって性格悪い。
だって、おれのこと全部バレちゃうよ。
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