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12にしおりをはさみました!
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12
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うーん。これはまずい。
えぐえぐ嗚咽しながらもおれの一部は冷静になる。チューしたい。わりと。ものすごく。でもそれは、怒られるんだろうなあ。
無機物有機質を分け隔てなく愛せるおれにとって、老若男女の区別ってない。見分けはつくけど、好きになったら好きで、嫌いは嫌いだ。生まれたての赤子のほっぺにお母さんがチューするのは大変微笑ましいのに、なんでそれは近親相姦に含まれないんだろう。性欲が絡まなきゃオッケーならなんで、友達同士でチューしちゃいけないんだろう。
おれは今、礼介くんに言われたことが嬉しくて嬉しくて、感情の処理が追いつかない。興奮が冷めない。泣いたら余計。だって、引きこもりぼっちが誰かを欲するなんて、しかもそれが僕のせいだなんて、こんなのパニックにならないほうがおかしい。誰かのせいということはつまり誰かのおかげであって、おれのたびたびの来訪が礼介くんの心境に変化を与えたという意味でもあって、おれが本物の幸多でない点を除けば、この出会いに間違いはなかったということだ。もしかしたら、幸多じゃなくておれのが大正解だった可能性。いやいやそこまで驕らないけど。ああでももう、ハグぐらいじゃ全然足りない。礼介くんは泣かないけど、おれを呼んだのだ。おれを必要としたのだ。
ある国では手の甲にキスをするし、頬にチューするふりをする。抱きあう。手を握る。頭を撫でるのは御法度。靴にキス。姿を見るのも禁止。
倫理。
おれはぐっとこらえて洟(はな)をすする。ひんひん泣いてる子供のふりをする。礼介くんにしがみつく。さわり心地としては、いつもの、着物みたいなたふたふのが良い。細すぎて心配。
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