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二章 1にしおりをはさみました!
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二章 1
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続・プロローグ
ニコライは銃を突きだしながら勢いよくドアを開けたと同時に、右足を何かに強打された。
「あっ……」
よろめきながらそちらに銃を向ける。しかし、
「いらっしゃい、天使さん?」
そこには超絶的な美貌の男が立っていた。そして、シリンダーに入っていた銃弾が消えていた。
「な……んで……」
「神通力によって生み出す銃弾だね?だったらこの家の中では無駄だよ」
笑顔でそう言った美貌の男。ニコライと同じ、二十代前半くらいの青年。金の短髪に鮮やかな若菜色の虹彩。背はニコライより少し低い。
ニコライの銃の銃身を掴む男。
「この家は俺の魔力がかかった家。神通力の全てを封じる」
ガッ、とニコライが男の腕を片手で掴み、もう片方の手で腰のポーチに入ったナイフを抜く。戦闘用のナイフだ。
「この、悪魔が……!」
そのまま男を引き寄せ、その鳩尾にナイフを刺そうとした。しかしそれはできなかった。
「駄目だよ」
バチィッ、と音がしたかと思うと、ニコライの体に衝撃と痛みが駆け抜けた。
「――――っ!」
雷の魔力で体に電流を流された、と理解したニコライ。床に倒れ、続けて自分の拳銃が横に落ちてきた。電流を流された体は動かない。
倒れたニコライを見下ろす美貌の男。
「動けないでしょ? 一時間以上は立ち上がれないよ。ようこそ、綺麗な天使さん。名前は?」
「…………」
ニコライは唇を噛み締める。完全に負けた。もうこの悪魔に殺されるしかない。
悪魔は開けっぱなしだったドア閉める。
「ねえ、名前は?」
「……そんなこと聞いてどうするんです? 殺すなら早く殺しなさい」
そう言うニコライに、男は溜め息を吐いて彼の横にしゃがんだ。
「それ、命令? 殺すかどうかなんて、俺の自由でしょ」
男はニコライの外套の前を開け、首にかかった認識表を軍服の中から引っ張り出した。
「えっと……ニコライ・フォン・ヴィノクール? 身分は高いようで」
名前に〝フォン〟が付く天使は身分が高い天使だ。
続いて男はニコライの胸ポケットから手帳を出した。
「あ、知ってると思うけれど俺はミハイルね。ミーシャって呼んでくれて構わないよ……君ならね」
彼はそう名乗って、ニコライの手帳をパラパラとめくった。
「君、特務曹長なの? 一人で来たってことは、やっぱり特別な立場なんだね。かなり強いんでしょ? 分かるよ。まあ、俺に勝てるわけはないけれど」
「勝手にそれを見ないでください、悪魔」
「ミハイルだってば……。ね、コーリャ?」
「…………っ!」
美しい顔を怒りに染めるニコライ。酷い屈辱だ。悪魔に負けた上に、勝手に持ち物を漁られ、愛称で呼ばれるなんて。
クスクスと嗤ったミハイルは、ニコライの頬に手をあてた。
「怒ってるの? 俺を抹殺する、なんてこんな任務、よく引き受けたね。……本当に、綺麗な顔してる。もっとよく見せて」
ミハイルに耳当て付きの帽子を外されたニコライ。整った彼の顔が目と鼻の先まで来る。
「目は……不思議な色してるね。青紫? 美女桜の色、かな」
「……私に、何をするおつもりですか」
顔を僅かに傾けて、ニコライはそう言った。
ミハイルは笑顔のまま、何も答えない。代わりにニコライの背中に手を回し、横抱きにして立ち上がる。
「よっ……と」
ニコライの外套が床に落ちたのを尻目に、ミハイルは家の奥へと向かう。
決して軽くはない男を平気な顔で持っているミハイル。魔力で僅かに重力を操っているのだ。
ニコライは床に落ちたままの自分の拳銃を横目で見ていた。
居間の暖炉を横切り、廊下を歩くミハイル。広くはない家の一番奥の部屋を開ける。
その部屋に、ニコライは少なからず驚きを感じた。
「…………?!」
そこは寝室だった。この悪魔は自分を殺しに来た天使をベッドに寝かせるつもりだろうか。
「驚いてるの? コーリャ」
ミハイルはそう言いながら、ベッドにニコライを下ろした。
「その呼び方はお止めなさい」
「やだよ。コーリャこそ、悪魔って呼ぶの止めてよね」
そう返したミハイルは、ニコライの軍用ブーツを脱がせ始めた。
「君は知ってると思うけれど、俺は強い魔力を持ってる。俺はね、君が山に入った時から君を見てたよ。この力を使って、ずっとね」
「えっ……?」
「最初はいつも通り殺そうと思った。でも、気が変わったんだ」
ブーツを脱がせ終わったミハイルは、驚愕しているニコライの頬に指を滑らせる。
「君の顔を……表情を見た瞬間、俺は君が欲しくて堪らなくなった」
無邪気な狂気を感じさせる翡翠の瞳に、ニコライは寒気がした。
「何を、言っているんです?」
「怯えてるね……可愛い」
ミハイルの綺麗な指先は、ニコライの白い首筋をなぞり、軍服の上着の襟元を捉えた。
「俺は同性愛者じゃないけれどね……、君を犯してあげたくなったよ。じっくりとね」
目の前の悪魔のその一言に、ニコライは目を見開く。上着の釦が、一つずつ外されていく。
「いい顔するね。そそるよ、コーリャ」
ポーチとホルスターが付いたウエストのベルトに手をかけられる。
動かそうにも動かない体では、何もできないニコライ。
「あなたはどうかしています……。天使に、男にこんなこと……」
「ああ、そうだろうね」
ベルトが外され、上着が脱がされた。ベッドからベルトが滑り落ちる。
「外、寒かったでしょ? 厚着されると、逆に脱がせるのが楽しいよ」
下に着ていた薄い緑色のシャツの釦に手を這わせるミハイル。一つ釦を外すと、襟の隙間から鎖骨が覗く。
「一枚一枚脱がして……裸にしてしまったら、俺は君を蹂躙する。君はただ、俺に犯されることしかできないんだ」
シャツの釦が外される度に、ニコライの白い肌が露(あらわ)になっていく。
「このシャツだけは、着せておいても良いかもね」
スル、と胸元を撫でるミハイルの手。
「顔は女っぽいけれど、やっぱり体は鍛えてるんだね。いい体してる」
鳩尾辺りまで釦を外したミハイルの手は、ズボンのベルトへ向かった。
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