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32にしおりをはさみました!
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「…もう、いいだろ??」
するり、と肩に軽く引っかかっていた状態のYシャツを取り去って、獲物は凛々しく言い放つ。
「…抱いてくれよ。」
「…~っ」
宵宮の前で立ち上がった獣は、生意気な獲物を見るような瞳で彼を見下ろす。冷淡な、それでいてどこか狂気を孕んだ双眸で朝倉は告げた。
「…お願いする態度がなっていないな。次の機会におあずけだが、やり方をちゃんと躾けてやるよ。」
皮肉を口にしながらも、獣は命じた通り動いてみせた獲物のコメカミにキスを一つ落とす。
「じゃあ、遠慮なくいただきますか。」
獣が屈みながら、ベルトに指先を伸ばそうとした…瞬間。
「あ!!」
宵宮が急に叫んだ。朝倉が驚いて顔を上げると、獲物は赤面している。
「…どうした??」
獣に問いかけられ、獲物は舌を縺れさせながらも答える。
「雰囲気にのまれて、忘れていた。男同士って、準備がいるんだよ、朝倉。お前、初めてって言ってたし、知らないよな。えっと~。だから、そのぉ~…。」
ごめんっ、と大声で男らしく謝罪した宵宮は、獣の目の前で浴室に入り、その扉をぴしゃんと閉め切った。
「ちょっと時間くれ!!終わったら、すぐにお前を呼ぶから!!」
すっかりその気になっていた朝倉は…、前髪を掻き上げ一言。
「…足元に散らばっているスーツとか玄関の荷物でも、片付けに行くかな。」
浴室のスモークガラスは、案外あっさりと朝倉の前で開いた。扉の向こう側には、全裸を濡らし、いつもと雰囲気の違う宵宮が佇んでいた。
「…どうぞ。」
「…どうも。」
先程の流れを断ち切ったことにより、二人ともややぎこちない会話になっている。
浴室に入った朝倉は、内部を見渡して感想を口にする。
「…なんていうか、この前も思ったけど。」
雪男は読めないポーカーフェイスのまま、断言する。
「せっっっまいな、この浴室。」
「文句言うな、人ン家のバスルームに!!」
すかさず噛みつく宵宮だった。…が、朝倉が不満を漏らすのも納得がいく。浴槽は足を伸ばせないほぼ真四角の小さい形だ。二人で入ったら、身を寄せ合わねば落ち着かないだろう。
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