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可愛い君にしおりをはさみました!
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可愛い君
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ー高橋斗真ー
ppppppp…
携帯から出る電子音で目が覚める。アラームの設定はした覚えがないので、誰かからの着信だろうと考える。
発信者を確認するついでに時間を見る、14:20朝を通り越して昼まで寝てしまった。
昨日は、なかなか寝付けず、最後に時計を見たのは夜中の4時頃だった、その後布団に入ったはいいが、すぐには寝れず色々考え込んでいるうちにいつの間にか寝ていた。
電話の方は優からの発信で、出ようか出ぬまいか一瞬迷い出る方のボタンを押した。
「とうま~おそよう。愛しの優ちゃんからのラブコールだよ」
ケータイを耳に当てるとすぐに優のハートが飛び交ったような声が聞こえる。
出るんじゃ無かった、と後悔した。
「なに」
不機嫌を隠すことなく用件をもとめる。
「あれ?斗真機嫌悪いの?昨日、あの後何かあった??今日はその話が聞けると思って、来るの待ってたのに、なかなか来ないから電話しちゃった」
尚も、語尾にハートを付けてくる優に、電話を切りたくなる。
苛立ちから口をつぐんでいると
「え?本当に何かあったの~?」と、陽気な声で返される。
「うるせぇな。今日はもうそっち行くつもりないから。それと、お前にあいつのこと話すつもりもない」
ビシッと言いつけるように伝えると、優はガーンっといった感じに(実際に言っていたかもしれない)
「えぇ~あの後、アキちゃんとどうなったか教えてくれないの~」と、言った。
「は?アキちゃん??」
俺は、優の出したアキちゃんと言う名前に戸惑い、「アキちゃんて誰のことだよ」と、自分で考え出している答えを一度おいて、優に疑問をぶつけた。
「誰って、斗真が昨日探してた子じゃん。え、まさかまだ名前とか聞けてないの?」
優の言葉に、何も言えずにいると。電話越しに優のニヤっと笑う気配がする。
「へ~。じゃあまだ学年もクラスとかも知らないんだ~なるほどねぇ」
優は得意げな声をだす。
「何だよ、お前知ってんのかよ」俺が、絞り出すように口を開くと
「知ってるよ?」と、即答された。
何でだよ、何で俺が知らない事をこいつが知ってんだよ。
自分より、あいつの事を知ったような素振りを見せる、優に腹が立つ。
「何で、知ってんだよ。教えろ」
俺が脅すような声色を出しても、優には効かないようで
「知りたい?じゃあ、明日学校で昨日のこと話してくれるんだったら教えてあげてもいいよ?」
と、笑いを含みながら言ってきた。
こいつ…本当に腹立つ。
でも、この話に乗らないことには、あいつの情報を聞き出す術はないだろうと思い。
「…わかったよ、明日話す」
俺は渋々優の話にのる事にした。
「わ~い。じゃあ明日、斗真の話を聞いたら、アキちゃんのこと教えてあげるね」
優は嬉しそうにそう言ってから「じゃあ明日ね~」と電話を切った。
電話が切れた後、俺は拳を握り優への怒りと自分への苛立ちを込めて布団に叩きつけた。
どうゆうことなんだよ、何で俺はあいつの事を何も知らないんだよ。
拳を布団にバンバン叩きつけながら昨日の事を思い出す。
細い腕、戸惑った表情、震えた声。
あいつは、俺とは関わりたくないといった。
俺と関わると、自分の印象が悪くなると…
それを聞いたとき、俺は何も言い返せなかった。
俺が、周りからどう思われてるかは、自分でも自覚しているつもりで、あいつみたいな真面目なタイプの人間には、いつも敬遠されていることも分かっている。
あいつが俺と関わることで、周りからの印象が悪い方へとなるのは、何となく想像つく。
だから、何も言えなかったし、引き止めれなかった。
俺のせいであいつが悪く言われるのは嫌だ。
なら、俺はやっぱりあいつに近づけないのだろうか。
あいつのために色々してやりたいって、力になりたいって、思う俺の存在はあいつには有害なものでしかないのだろうか。
あの夜の公園での事が頭に浮かぶ、泣き出しそうな顔を見たとき、どうにもたまらない感情が押し寄せてきた。
泣きながら話し始めた内容には心が傷んだが、俺に体を預けて泣いてくれた事が嬉しかった。
ずっとそばにいて、いつでもあいつが辛い時はそうしてやりたいと思った。
思ったのに…
ドンっ、と枕に顔をうずめる。
自分の、今までの行いに嫌気がさす。
もし、俺がバリバリの優等生だったりしたら、あいつの隣であいつの力になってやれたのだろうか。
頼りにされる存在になれたのだろうか。
一緒に笑い合ったり、語り合ったり、出来たのだろか。
ふと、自分の真面目になった姿を思い浮かべる。
全然、似合わねぇな…
乾いた笑いがこみ上げる。
どうにも今の生き方がシックリきすぎていけない。
優や健人とつるんでる俺の方が板についていて、あいつと一緒に真面目に勉強している姿が想像できない。
つまりは、そういうことなのだろう。俺とあいつは全く違う存在なんだ。仲良しこよし何て無理な話だったのだ。
は~っとため息をはく。
明日、あの二人に昨日の事を話さないといけないと思うと、気が沈んだ。
きっと傷口に塩を塗りたくられるのだろう。
まぁ、あいつらのキツイ言葉を聞くことで、この気持ちにも諦めが付くかも知れない。
ふと、優が言っていた名前を思い出す。
アキ、という名前…
漢字は何と書くのだろう、苗字は?可愛らしい名前だが本人は気に入っているのだろうか。
諦めると思っている矢先にそんな事を考えてしまう。
明日は、優からあいつの事を聞いて、俺は一体どうするつもりなんだろうか。
そんな事を考えながら、このまま布団の中にダラダラいるのはまずいと起き上がる、昨日は帰ってから何も食べていないことを思い出し、取敢えず遅めの昼食をとることにした。
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