アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
可愛い君にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
可愛い君
-
 ̄
「こうやってちゃんと会って話すのあの時以来だな?」
「そ…そうだね」
映画館への道のりを歩きながら、話題を探す。
色々と話したい事はあるのだが、何から話したものか考えてしまう。
こんなことなら、待ってる間に何か考えときゃよかった。
俺が一人後悔にのまれていると
「高橋……俺に見せたいものがあるって言ってたよな」
日高が言いにくそうにボソボソと口を開いた。
日高は、俺から少し離れたところでうつむき気味に歩いている。
まさか、日高から話を振ってもらえると思っていなかったので少し驚いたし嬉しかった。
「ああ、それなら映画見てから行こうぜ。最後のお楽しみ。な?」
ニッと俺は笑みをうかべて言うが、日高がこちらを見ることはなく
「何だ、バイクじゃなかったのか…」
とホッとしたような返事が返ってくる。
「バイク?」
別に俺に向けられた言葉ではなさそうだったが、気になって聞いてみると、日高は何回か口を開け閉めして、少し考えている様子をみせてからまた口を開いた。
「てっきり自慢のバイクでも見せられるのかと思ってて…」
「え?なぜ?」
俺がそう言うと、日高は不思議そうにこちらを見て
「よく、カスタマイズしたバイクを見せ合ったりするんだろ?」
と言う。
改造バイクを見せ合う…?それって俺を族かなんかと勘違いしてないか?
「あーいや、俺はそうゆうんじゃねーから。第一バイクとか持ってねーし」
俺がそう言うと、日高は意外そうな顔をして
「……てっきり、不良は皆バイクを乗り回してるもんだと思ってた」
と言った。
「どこからの情報だよそれ。確かに、周りにそんな奴らは多いし、色々誘われたりはするけど、俺はそうゆうんじゃねーよ 」
俺が言うと、それを聞いて日高は少し考え込み、俺達の間に沈黙ができる。
「そうなのか……じゃあ、高橋は授業サボるだけの不良なのか?」
いったい何を考えてその結果に至ったのか、迷いながらも日高はそう口にした。
「どうしても不良は外さないんだな。まぁ間違ってねーけど。でも授業サボるだけの不良って何か、かっこ悪いな」
苦笑しながら俺は言う。
「かっこ悪い?」
「かっこ悪いだろ。俺、別に喧嘩もそんな強くねーし。それに、校則違反はできても、法律違反はできねータイプなんだよ」
「意外と小心者なんだな」
「だだ悪さする機会がねーだけだよ。にしても、校則違反しか破らないって、不良ってゆうかただの問題児だな。やっぱかっこわりー」
言いながらも自分に呆れてしまう。
「そうか?俺はかっこ悪いとは思わないけど。高橋って自由に生きてるみたいで憧れるよ」
自分自身に呆れ落ち込む俺に、日高は何となしにそう言う。
「えっ」
意外だ。日高がそういう風におもってるとは……
てっきり、俺みたいな好き勝手やってる奴なんて、嫌ってると思ってた。
「憧れるっていっても別に俺がサボりとか、校則破りたいってわけじゃないからな。ただ、高橋って自分の中の善悪に素直そうっていうか…何って言ったらいいんだろ、ちゃんと自分で物事を考えれてるっていうか」
言いながら日高はまた顔をふせた。
「とにかく。そういうのは凄くいいと思うから」
「……日高」
何か……すげー嬉しいんだけど。
伏せた日高の頭を触ろうと、手をのばすが…
届かねぇ……
「日高……そう、言ってもらって凄く嬉しいんだが。何か、遠くないか?」
今日、会ってから気になっていたのだが、明らかに俺と日高の距離が遠い。
俺は、結構寄って行っている筈なのだが、距離が縮まらない。
「え……そ、そうか?俺はいい距離感だと思うけど…」
俺に指摘されたことで、日高は焦りをみせる。
この焦りようは、やっぱ意図的に距離おいてんだよな?
何で?
「全然、よくねーよ。何でそんなに遠いんだよ」
俺がそう言うと
「それは…だって」
日高は、ごにょごにょと言葉を濁す。
「……やっぱ俺と一緒にいるの嫌なのか」
「え…いや…そうじゃない、と思う…」
思う…?それって…
何となく、無理に誘ってしまった気はしていたが。
やっぱり、日高は来たくなかったのか?……結構ショックだな。
先程の日高の言葉で気分が上がっていたのに、一気に下がっていく
「そうか…嫌だったら、別にはっきり言ってくれてよかったんだぜ?無理に誘ったりして悪かったな」
明らかにしょげてしまっている自分が情けない。
そんな俺を見て、日高は良心が傷んだのか少し焦りだす。
「あ、いや、違うんだ高橋、ただ…」
そこまで言って、日高はまた言いにくそうに口篭り
「ただ?」
俺が次の言葉を促すと、渋々といった感じに言葉を続けた。
「あ……あんまり触られたくなくて…」
「触られたくない?」
「だって、高橋よく頭とか触ったりしてきてただろ?」
「え…そう、だっけ?」
思い当たる節がない、だって日高と関わったのは、あの日の夜くらいだ。
俺ってそんなにベタベタしてたか?
思い出そうと記憶を遡って見る。
確かに、日高が泣いてた時はほっとけなくてつい、手が出たような気がする。
でも、あれは仕方なくないか?
「そうだっけ。って、やっぱ無意識なのか……じゃあ、最後にしたやつも覚えてないんだろうな」
日高は1人で何か、ボソボソと呟く。
「最後にしたやつ?」
「いや、なんでもない。とにかく、俺はあんまり人に触られるのが好きじゃないんだ、だから高橋には近づきたくない」
「え?何だよそれ。じゃあ、俺が触らなかったらいいんだろ?絶対触らねーからこっち来いよ」
「でも…」
「触らねーから‼︎」
「う……」
「な?」
「う………ん」
俺が強く言うと、渋々といった感じに日高は頷き、少しずつ寄ってくる。
日高が近くにいることが嬉しく、手が日高の頭に伸びる途中ではたと気づく。
これか。
伸びた手を止め、日高気づかれぬように元に戻す。
成る程な……自分では気づいてなかったが、触っていたようだ。
無意識って怖いな。
でも、日高って小ちゃいから手が伸びやすいってゆーか、髪ふわふわしてるし、日高自身も何か触りたくなるようなオーラを醸し出してるとゆーか。
そこまで考えて、これは意識して気をつけないといけないな。と改めた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 35