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13にしおりをはさみました!
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13
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少し離れたところにいた末次が、安心したように口を開く。
「七生くん気付いた? お医者さんに注射打ってもらったんよ。この前会った使用人の女の子が呼んでくれてさ」
シャーロットのことだ、と七生は思った。彼女はどうやら、城島と末次二人が看ているので、自分は身を引いたらしい。
けれど、ここに城島がいるのは少し驚いた。いつも見る優しく落ち着いた彼ではなく、今日は少し焦っているようで、眉間に皺を寄せてこちらを見つめる眼には、心配の色が見て取れる。
「すみません、俺。やっぱりお医者さんに無理言ってでも、薬貰っておくべきでした」
———二人に心配も迷惑もかけて。
俯いて七生が言うと、城島は七生の手を優しく握った。
「……七生のせいじゃないから。気にすんな」
「すみません……」
優しい声。
俺のこと、気遣ってくれてるの分かる。
のに、俺は……
誰かの足手纏いにはなりたくない。
そう、ずっと思ってきたけれど。
七生と城島の様子を見た末次が、ふぅと溜息を吐く。
「城島さん、大事にしてるんならさっさと番っちゃえばええのに。夫婦にもなってるんですから、その方が良いでしょ」
末次の提案に、城島は何も答えない。痺れを切らした末次は、悪戯に笑顔を浮かべて「なら俺が貰っちゃおっかなー」なんて冗談を言ってきた。
———俺が貰う。
その言葉に、城島はぎっと視線を尖らせる。
「てめえが言うと冗談に聞こえねんだよ。七生に触んな」
低く、城島は呟く。
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