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すれ違い⑥にしおりをはさみました!
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すれ違い⑥
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「大翔は運動部に入っていそうなのに、経済部に入っているんだよな。笑える!」
俺が大翔に借りていた教科書を届けに行ったのは、校舎五階にある多目的準備室兼経済部の部室だった。
経済部は何をするんだと以前聞いたら何も理解できなかったので、活動目的および活動内容は不明。だが彼がこの部活に入っている理由は、顧問の立川先生に憧れているからだそう。
「てか、お前立川先生のこと、好きすぎだろ!」
「うるさい!」
大翔のもとに行った時、ちょうど経済部の活動は終わりを迎えようとしていた。部室を後にする立川先生に挨拶して帰り支度をしている彼に、一緒に帰ろうと誘いをかけた。そして今は、二人で校舎裏に置いてきた弁当箱を取りに戻る最中だ。
「そんなに好きなら、立川先生に告白しちゃえよ。なぁ!」
「そんなんじゃないってば、たくっ。それをいうなら、鳴海だってなんだかんだで渉のこと好きだよな」
「はぁ、なんで?」
納得のいかない言葉に、不服の体当たりをくらわせる。それをたくましい体で受け止めて、びくともしない大翔が俺の頭をはたく。
「だってそうだろ。鳴海は嫌いな相手に、あんな付き合い方しない。嫌いな奴は、とことん嫌いだし噛みつく。そうだろ?」
「いや、だってイジメるから。好きも何も、怖いだろう……」
「まぁ。お前に比べて渉の方は正直というか、不器用というか」
「はぁ?あいつなんて俺のこと大嫌いに決まってるじゃん!」
「相手が鈍感過ぎるのも、問題か……。あ、それよりこの道に入るんだっけ?」
「そうそう、そっちの方が近道だから」
俺は人間一人なら悠々と通れる、狭い脇道を指差した。そこを通れば校舎をまわるより、幾分か近道になる。
先を歩いていた大翔がその道を左折しようとしたとき、突如不良らしき数人のグル―プがその脇道から飛び出してきてぶつかりそうになる。だが大翔は持ち前の反射神経でぶつかることを回避。二歩ほど退いて奴らを見物した。
見た目でも随分痛そうな打撲や怪我をしており、酷い奴は額から血を垂れ流して足をひきずっている。不良たちは俺らに目もくれず、どこかへ走り去っていった。
さして平和とは呼べない公立学校なだけに、喧嘩は多い。だが、あそこまで酷い仕打ちを受けている奴らは初めて見た。大翔が感想を告げようとして、俺はあることに気づく。
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