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3年 9月にしおりをはさみました!
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3年 9月
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「おぉっと!白組がまさかの転倒!赤組チャンスです!頑張ってください!」
絶好の行楽日和の中、運動会が催され学園は歓声に包まれる
「ぁ、桜庭!」
テントに戻る途中に、ハチマキを結んでもらってる桜庭の横顔が目に留まり、咄嗟に名前を呼んだ
学ランを着ているし、きっと応援合戦の準備をしているのだろう
声に反応して桜庭がこちらを見る
桜庭だけではなく、ハチマキを結んでやってた奴までこちらを見る
……声大きかったかも
テント1つ分距離があったにも関わらず、しかも特に用は無いのになんで呼んだんだ俺は
「詩音!」
パァっと桜庭が嬉しそうな顔をして手を振る
「……かっこいいよ」
いや何を言ってんだ俺
他の奴らに聞こえてるだろ
桜庭は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になってる
「やっぱりぃ?」
鳩面はニヤァっとした笑みへと変わった
ーー
「なぁ見て見て!差し入れとか貰ってん!なんやこれアイドルみたいやぁ!」
無事に応援合戦が終わり、他校の女子から揉みくちゃにされた桜庭がやっとテントに戻ってきた
「へえ」
女子と嬉しそうに喋ってた光景を思い出し、まるで絡まった糸くずが心臓にあるような感覚に陥る
「んー……なぁこれ教室に置きに行かん?」
「なんで俺まで…」
「ええやんー!行こうやぁ!」
「あーうるせ……はいはい、分かった」
運動会だから本来なら昼食時間にしか出入りできないが、先生に承諾を得て教室に入る
「なんか詩音、機嫌悪いやろ」
「あぁ?」
差し入れとやらを鞄に入れるのを手伝ってるというのに、気に触る事を言われ増々小さな苛立ちが積もっていく
「やきもち焼いてるん?」
「んな訳ねぇだろ」
俺だって分かんねぇんだよ
さっさとテントに戻りたい、そしてこの苛立ちを時間任せに静めたい
取り敢えず2人きりは駄目だ
鞄に全て入れ終えドアの方へと向かう
「妬いとるやろ、なぁこっち見て?」
背後から桜庭の両腕が出てきて、そのままドアに手を付く
包囲され自然と体が強張る
俺じゃなくて桜庭の方が機嫌悪いんじゃないか……?
「ひっ……」
首の後ろに唇を当てられ咄嗟に振り返る
桜庭の表情が、視線が、雰囲気が、ベッドの上での出来事を鮮明に思い出させる
「ぉ、お前の方が機嫌悪いじゃん」
「んーせやなぁ、詩音の可愛い所見れたら機嫌戻るなぁ」
可愛いって何、そう言う暇も無く桜庭の顔が近付き
「んっ……ゃ…」
ピンポイントで俺の弱い所を舐める
「……抱き返してくれへんの?」
耳元で囁かれ、心臓がキュウっとなる
もうなんで機嫌が悪かったのかはどうでも良い
腕を桜庭の背中へと回す
「んぅっ……!なっ、か…ゃ……だ」
耳を弄っていた舌が中に入り出し、体が敏感に反応して
反射的にギュウっと抱きしめてしまう
桜庭の舌の感触、温度が直に伝わってきて頭がクラクラする
「……なんちゅう顔してんねん」
耳から熱い感触が無くなり桜庭の方を見上げる
顔……?
「あああ゛ーーー詩音めっちゃかわえぇ……」
額を肩に乗せられ、やっといつもの調子に戻った桜庭の頭に手を置く
「可愛くねぇわ」
「はーーーーっっ、もうーー」
「そういやお前なんで機嫌悪かったの」
「ん〜、秘密や」
「はぁ」
「てかさっき、かっこいいよって言ってくれたやん?あれ
めっちゃ嬉しかったわぁ」
「忘れろ」
思い出したくもない出来事を掘り起こされ恥ずかしさが蘇る
普段ブレザーだから、学ラン姿が新鮮だっただけだろ
そうだそうだ
でもまぁ、やっと上機嫌になった桜庭に正論を吐くのも
可哀想だから言わないでおこう
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