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リンドウの仕事(2)にしおりをはさみました!
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リンドウの仕事(2)
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「こんにちは、スイレンさん」
軽く挨拶をすると、スイレンさんは陽気な口調で挨拶を返してくれる
「ごきげんよう橘の坊ちゃん。ご依頼いただいたものは
こちらです」
俺はスイレンさんに続いて錆びれた小さなビルの中に入っていく。階段を昇って唯一明かりがついている部屋へ近づいていくと嗅ぎなれた血の匂いが漂っていた
部屋へ入るとそこには綺麗に並べられた3人の遺体があった。 部屋には血が飛び散っていて、遺体の損傷も激しい。これは殺す際に抵抗されてこうなったわけではなきだろう。
─── いたぶって殺したんだ
初めて俺の依頼で、僕が、俺が、殺した人たちだから
俺の目で直接見ておきたかった
これから俺が進む道についての“覚悟”を持つために…
俺は拳を強く握りしめながら、スイレンへ軽く頭を下げて依頼遂行の礼を言った
「いえいえ。私ではなく私の部下が行った仕事ですのでお構いなく。それに私はもっとスマートに仕事をこなしますよ☆」
「そうですか」
「どうかしましたか?坊ちゃん」
笑顔のまま目を細めた鋭い眼光が俺に向く
「…僕の依頼を遂行していただいたことには感謝しますが、今後この様な人道に反する殺し方は御遠慮頂けますか」
少し伝えるか悩んだが、甘いと言われることがあってもこのやり方を僕は許せなかった。
すると仮面の下でスイレンさんの目が細くなるのが分かった
「なるほどなるほどっ☆ 坊ちゃんの言いたいことは理解しましたがそれは難しい相談ですね☆」
スイレンさんはうんうんと頷きながら俺の話を理解してくれたようだが、俺の話は否定された。
スイレンさんにそれは何故かたずねた
「我々は橘の坊ちゃんから殺しの依頼を受けました。が、こちらの仕事の方法にまで口出しされるのは契約に反します。
それにこれらの行ってきた事を考えると当然の報いなのでは?☆」
スイレンさんは左の人差し指を顎に置いて首を傾げ、死体の上に足をおいた。
「確かに。彼らのしてきたことは許されることでは無い。だからといって命を弄んでいい理由にはなりません」
僕は力強くスイレンさんの目を仮面越しに正面から見つめた
「ハッハッハッハ☆
なるほどなるほど!ほんとうに橘の坊ちゃんは可愛らしい。私たちSMILEにしてみれば、命は等しく無価値。どう扱おうが意味の無いものなんですよ」
スイレンさんは本当に可笑しそうに高らかに笑い声を上げ、俺を見つめ返してきた。
目は笑っているようだったが、その瞳は酷く冷たいものだった。
何も言えないでいると、肩を軽く叩かれスイレンさんは鼻歌を歌いながら部屋を出ていった
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『意味の無いもの』
スイレンさんの言葉が頭に残っている
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