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乙女ゲームに転生した:4にしおりをはさみました!
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乙女ゲームに転生した:4
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前世を思い出してから3ヶ月。
今俺は超絶に悩んでいた。
3ヶ月前から始めた好少年作戦によって、俺は素で好少年へと進化した。
好少年だからと下手に友達から浮くことも無く、前世を思い出す前より亮太やクラスメイトと仲良くなった気がする。
順風満帆、絶好調に見える俺の日常。
だが、俺は悩んでいるんだ。
前世を思い出した当初の悩み。そう、ストラブの推しカナたんのことだ。
未だに俺は、カナたんに会いに行っていない。極力カナたんのカの字も視界に入らないように行動している。
きっとランドセルを背負ったカナたんは天使のように儚いのだろう。わかる、尊い。
しかし、会いに行けない。会ってはいけない。
もし会いに行けば、きっと友達になり中学高校では先輩後輩となることが俺には出来る。それも良い。素晴らしい。けどその先は?
もしヒロインがカナたんルートに入った場合俺は、2人がイチャコラしてるのを後輩兼友達として見ているのか?そんなの耐えられない。
例えヒロインが別のルートに入ったとしても俺は女じゃないからカナたんとそういう関係にはなれない。
それ以上にはなれないんだ。
それでも、やっぱり推しには会いたい。ランドセル背負ったカナたん見たい。
それが俺の目下の悩み。
学校からの帰り道、俺は小さく溜息を洩らす。それに気づいた隣で歩いている亮太が足を止めて心配そうに声をかける。
「大丈夫。ちょっと寝不足気味なだけだ、気にすんな。」
俺は出来る限りの笑顔で亮太に答える。亮太はそれを見て顔をムッとさせ、俺の両肩を掴んで言った。
「全然大丈夫な顔じゃねぇ!シンユーの俺には言えないことか!?」
……俺はいつ亮太の親友になったのか。というか、シンユーと漢字に変換できない気がする。
俺は微笑ましく思いつつ、亮太をどうにか宥めようと口を開いたその時。
亮太の横を天使が通った。
世界の動きがゆっくりに感じた。元々色で溢れていた世界が一層美しく彩って映る。
息をするのを忘れる程の、天使……少年期の深窓奏汰はそれ程輝いて見えた。美少年なんてもんじゃない、あれはもはや歩くアフロディーテ。美と愛の女神……いや男神だ。
歩く度に揺れる艶やかな緑がかった黒髪は彼の生をしっかりと俺の心に刻みつけ、緩く後ろでまとめられている。項から覗く健康的な肌と1つの黒子は幼いながらも魅惑的だ。アフロディーテは進化すると歩く18禁になるのだろうか。
少し眠そうな瞳と長いまつ毛は妖艶に瞬き、少しふっくらした頬と黒いランドセルは彼の幼さをまだ残している。大人と子供の狭間……咲くのを待つつぼみのようだ。
時間にして僅か3秒。彼が視界から消えて、俺はふらりとふらつき尻もちを着いた。
俺は彼が視界から消えるまで本当に呼吸を止めていたようだ。
亮太が心配して声をかけてくれているが、右から左へと流れてしまう。
画面越しのカナたんは確かに推しだったし、ガチ恋だった。
でも、現実の彼はさらにすごくて……。
彼を視界に入れて3秒。
俺は彼を愛してしまった。
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