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閑話 成長:1
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俺、長谷川亮太は今年で10才になる。
今年の目標は身長を150cmにすること。クラスの中で150cmなのは近所に住んでるアイツ。
幼稚園の頃から俺より少し背が高くて、走るのも勉強も得意。顔も綺麗だから俺より女子にモテてる。
頼り甲斐があって、クラスの中心的存在。
それが俺の中の、大咲大雅だった。
最近、大雅は先生達の手伝いを良くするようになった。
前から頼まれれば文句を言いながら手伝っていたけど、最近は自分から手伝うようになった気がする。
他にも、元々口が悪くてたまに言い過ぎて友達を泣かせたりしてたけどそれもなくなったし、男女混合のグループで話す事も増えた。
元々俺と大雅は家が近いから2人で遊ぶことが多かったのに、最近は他の奴も増えて遊ぶことが多い。
別に楽しくない訳じゃない。
全く2人で遊ばないわけじゃないし。
でもなんか、俺と2人で遊ぶのは楽しくなかったのかなとか、少し嫌な気持ちになる。
この間ついそれを本人に言ってしまった。
大雅はそれを聞いて何でか俺の事をギューってしてきた。
最初、何をされているのかわからなくて石みたいになったけど、可愛いと言って俺の髪をぐちゃぐちゃにしてるその声が凄く嬉しそうだった。
チラッと大雅の顔を盗み見たら、すごく優しそうに笑ってて、胸がギュッとなった。
よくわかんないけど、その時は顔を見てられなかったから走って逃げた。
家に帰ってもしばらく胸は苦しかった。
***********
今、俺と男友達数人で机の上に座りながら話していた。大雅は先生の手伝いをしていてここにいない。
「俺この間、大雅と2人で遊んだんだけどさ。」
友達の1人がそう大雅と遊んだことを自慢げに話し出した。
友達との話題で大雅の話はよく出る。最近は特にそうだ。
「俺もこの間大雅と……。」友達はみんな大雅と何をしただ、どこに行ってきただと話している。
俺もそれに混ざって大雅とした遊びの話をする。
1人が言った。
「俺、大雅の親友だからさ。」
そいつは大雅とどれくらい仲がいいか、2人で何をしたかを話す。
俺以外は気にしてないのか、そのまま大雅と何をしたかを話し続けてる。
……シンユー……親友?
俺の方が大雅と遊んでるのに?俺の方が大雅と一緒にいるのに?俺の方が仲がいいのに?
その後はあんまり覚えてない。
帰る時間になって、いつも通り大雅と2人で帰る。
モヤモヤした気持ちで歩いてたら、隣で大雅が浮かない顔をしている。どうしたんだろうと思って様子を見てたら、溜息を吐いた。
「どうした、何かあったのか?」
俺が声をかけると、大雅は笑って寝不足だと言う。
でもその笑った顔は前見たような優しい感じじゃなくて、何だかイラッとした。
俺は大雅の肩を掴んでこっちを向かせる。
「全然大丈夫な顔じゃねぇ!シンユーの俺には言えないことか!?」
自分を親友だというあいつより、俺の方が仲がいいよな?あいつじゃなくて、親友は俺だよな?
そんな気持ちで俺は大雅に声を荒らげて言った。
そしたら、大雅はいきなり力が抜けたように尻もちをついた。
そして、両鼻から鼻血を出して唖然とした顔をしていた。
立ち上がらせようと手を握ったら、ひんやりと冷たくて震えていた。
俺の中で大雅は頼れる存在でクラスの中心……俺を含めてみんなを引っ張っていく奴だと思ってた。
でも今目の前にいる大雅は、小さくて今にも消えてしまいそうで、死んでしまいそうに見えた。
俺は大雅をおぶって家に送る。
大雅は思ってたよりも軽くて、怖くなった。
俺も含めて、先生達大人もクラスの奴らもみんな大雅は頼りになるという。
本当に?
こんなに弱そうなのに?
俺が……俺が守らないと。
じゃないと大雅は死んじゃうかもしれない。
今年の目標は身長を150cmにすること。
そして大雅にとって頼れる存在、大雅を守れる存在になること。
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