アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
3にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
3
-
裏のお偉いさんに呼ばれ、訪れた屋敷。中に入るとたくさんの人が整列して俺を迎えた。
スキンヘッド、ヤンキー?チンピラっぽい男、スーツ姿でサラリーマンに見える男……個性豊かな格好をした男たち。
「こちらです」
スーツの男に案内され、『若頭』と呼ばれる男の前へ座る。
「お前が組長の言ってた人喰いか?」
「うん、そうだけど」
「ほう。人喰いというから、獣のような姿かと思えば、人間にしか見えないな……」
「普段は人間とそう対して変わらないよ。えっと、若頭さん?依頼というのは……?」
「一週間、ある男を預かってほしい」
「預かる?喰うんじゃなくて?」
「喰うのは一週間後だ」
若頭の指示で幹部が連れてきた一人の青年。手を拘束され、顔や腕、至る所に傷跡があった。
「この男の父親が俺たちから金を借りた。だが、期限を守らず逃げやがった。場所を聞き出し父親を見つけたら、5日後に金が入ると言うので一週間の猶予を与えた。金を持ってこない場合、この息子を殺すことになってる」
「何で俺なんだよッ!殺すならあのクソ親父にしろよッ!」
拘束から逃れようと暴れる青年。
「暴れるなッ!大人しくしてろ!」
スーツの男が暴れる青年を抑える。
「俺が預かっても良いの?一週間も待てずにこいつを喰うかもしれないよ?」
「約束を守らなければお前を始末するだけだ」「始末って……俺、殺しても死なないよ?試してみたけど、痛いだけ苦しいだけで死ねなかった」「ほう、不死身というわけか。では、命令に逆らったら幹部として働いてもらおう。いっそ、こちら側で働くか?」
「遠慮しておくよ、他にも仕事があるし。それに人間を喰う化け物と思ってるだろうけど、俺にだって感情はある。感情があるから、罪のない善人には手を出さないようにしてる」
「……ハッ、綺麗事だな。人間を喰う時点で、こっちのやってることと変わらない」
「そうだね。でもこうやって人を喰ってないと、いつか大切な人まで喰いそうだから……」
喰ってる間は我を忘れる。目の前の肉に食らいつく化け物となる。そんな自分が怖い。
「ねぇ、若頭さん」
「何だ」
「ヴィーザルって男、知らない?」
「ヴィーザル?そーゆー猿の名前か?」
「違う、人間。俺を殺せる唯一の男なんだって」「知らん。お前は知ってるか?」
若頭がスーツの男に話しかける。
「いえ、知りません」
話を聞いてた他の幹部たちも首を振った。
ただ一人、首を振らない男がいた。
「君、ヴィーザルって男、知ってる?」
拘束された青年に近づき話しかける。
「……と、友達に『ヴィーザル』って男はいる」「え、ほんと!?」
青年の話に目を輝かせる。
俺を殺せる唯一の存在。本当に存在していたんだ……!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 14