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「……何で、そんな嬉しそうなんだよ。自分を殺す男だぞ」
「うん、だからだよ」
何をやっても死ななかった。人間にとっては死に至ることでも、俺は死ねなかった。でもその男の肉を喰えば死ねる。俺を殺してくれるんだ!
「自分が自分じゃなくなる前に、俺は死にたい。我を忘れて本物の化け物になる前に、俺を殺して欲しい」
両親は俺が人間の肉を食べてることは知らないし、普通の人間だと思っている。大切に育ててくれた両親に、化け物になった姿など見せたくない。
「殺す以外にその体を治す方法はないのか?」「治す……?」
「だっておかしいだろ。人間の肉を食べるなんて。何か変な病気とか、感染症とか、そーゆーのじゃねぇの」
「それはないと思う。病気で味がおかしくなるならまだしも、人間の肉を美味しいって感じるのはどう考えたって異常だよ」
青年と話してると若頭が口を挟んだ。
「おい、てめーら。これ以上無駄口叩くと、その舌切るぞ」
「え、舌を切る?その方法試してなかった……ねぇねぇ、若頭さん。舌を切られると死ぬかな?」「はぁ!?何言ってんだ、コイツ」
「あー、試してみたい!でも失敗して死ねなかったら痛い思いするだけだからなぁ……あ、試しに人を殺すとき、舌を切ってみてよ。今じゃなくて今度でいいから」
マンガやドラマで猟奇的な殺人犯が舌を切るシーンを見たことがある。でもそのシーンは被害者が死んだ後に、記念として持ち帰っていたから、舌を切って死んだわけではない。
でもそれだったら、身体をバラバラにされた方が死ねるのか……?
「そんな気持ち悪いことできるか。てかお前、今どんな顔してるかわかるか?」
「えっ?」
周囲の顔が歪む。まるで醜い物を見たような顔で俺を見る。
人前では出さないようにしていた姿。醜い獣の自分。あぁ、そーゆー顔で見るんだなぁ……
見られて歪んだ他人の顔を見るのが辛い。これが自分の親だったら、もっと辛い。
望んでこの姿になったわけじゃないのに、どーしてそんな目で見るんだ。でも仕方ない。
人間にとって俺は異物なのだから……
「疲れたし、そろそろ帰ろうかな。とりあえずこの子、連れて帰るね。食べていい時、連絡して」
俺は青年の腕を掴み、逃げるようにその場を去った。
「もう仕事もらえないかなー、あんな姿見せたし。どう思う?」
「知らねぇーよ。俺には関係ねぇーし」
青年と話しながら、車で家へ帰る。
「なぁ、この拘束解いてくれよ。サツに見つかったらお前捕まるぞ」
「あー、そうね。じゃあ……」
青年の片手の拘束を解き、解いた方の拘束を自分の手につける。
「は?何してんの」
「逃げないように」
「いや、逃げねぇーし。車乗ってるから逃げれねぇだろ」
「わかんないよー?信号で止まってる間に逃げるかも。困るんだよねー、あとでしばかれて痛い思いするの俺だから」
「でも死なねぇーじゃん」
「死ねずに長い間痛い思いするくらいなら、一発殴られて死んだほうがマシだよ」
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