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ご主人様は今どこに?にしおりをはさみました!
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ご主人様は今どこに?
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「乃蒼様、こちらで少々お待ちください。地下街にアンドロイドが一体紛れ込んだようです。……良いですか、何があっても絶対にここから出てはいけませんよ」
声をひそめ、ラヴィは古びた洋品店のディスプレイラックに僕を押し込めた。吊るされたロングスカートの陰に隠れながら、僕は黙ってうなずく。
離れていくラヴィの後ろ姿を見ながら、僕は無意識に指を組んで祈るようなポーズをとっていた。
ここに住み着いてからの三年間で、二度ほどアンドロイドが迷い込んだことがあった。その度に上手くごまかし、やり過ごしてきたんだ。今回だってきっと何事もなく通り過ぎてくれるだろう。
痛いほど鼓動する心臓を押さえながら、僕は息を殺す。
もし相手のアンドロイドが優秀で、ラヴィのように偵察機能を使っていたら、僕が隠れたところで何の意味もないのだけれど。
「やぁ、驚いたな。こんなところでお仲間に会えるなんて」
店の外からラヴィの声が聞こえてくる。とっくに相手の存在に気づいていたくせに、今初めて知ったような口ぶりだ。洋品店の窓越しからではラヴィの背中しか見えないが、きっと敵意のない旧型アンドロイドとして、無害そうな笑みを浮かべているに違いない。
「わぁ。キミ、随分オールドタイプの個体だね。でも、パーツはどれも一級品だ」
ラヴィと向かい合うようにして立ち止まったのは、厄介なことに新型アンドロイドだった。白髪の長い前髪の間から金色の眼が見える。スラリと背の高い美形で、ラヴィの美貌を見慣れている僕でさえもその容姿に感心した。
彼は顎に手を添え、ラヴィのつま先から頭のてっぺんまで値踏みするように視線を這わせる。
「こんなところで一人きりじゃ不便だろ? 修理なんかはどうしてるの」
バッタリ出くわした年代物に興味津々なようで、白髪のアンドロイドがラヴィに尋ねた。
「自動修復機能を備えておりますので、今のところなんとかなっております」
「へぇ、高価なオプション付けて貰ったんだね。それで、ご主人様は今どこに?」
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