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こんな骨董品にしおりをはさみました!
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こんな骨董品
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青い火花がセフィドの最期と重なってしまい、僕は慌ててラヴィに駆け寄る。
「肩、見せてみろ!」
僕の剣幕に圧されたのか、ラヴィは軽く目を見開いた。
「これくらい、問題ありません」
「いいから、早く!」
仕方なさそうに、ラヴィは僕の命令通り着ていたロングテールコートを脱ぎ、ワイシャツのボタンを外す。露になった肩には裂傷があり、人工筋肉のチューブが見えてしまっていた。
「やっぱり破損してるじゃないか。火花が出たってことは、中の電子回路にも異常が?」
「いいえ。放電はありますが、回路は無事です。人工皮膚も筋肉も、自動修復ですぐに直るでしょう」
ラヴィがワイシャツのボタンを留め直しながら、何も心配はいらないと笑いかける。
セフィドのあんな姿を見る前ならば、それで納得したかもしれない。でも今は、小さな傷さえ恐ろしい。
僕はすがるように、ラヴィのシャツをきつく掴んだ。
「世界がこんなことになって、もう何年もメンテナンスを受けてないだろ。ダメージが蓄積されて、ある日突然動かなくなったりしない?」
ラヴィはやれやれと困ったように眉を寄せる。
「それを言うなら、乃蒼様の健康状態の方が心配です。気づかぬうちに疾患があったらと思うと、気が気ではありませんよ。私は自動修復できますが、人はそうはいきませんからね」
ラヴィが僕の髪をサラリと撫で、この話はもうお終いとばかりに背を向ける。残りわずかとなった貴重な茶葉の缶を取り出すため、高い位置にある棚に手を伸ばした。その間も腕の辺りに青い光が帯電し、時折パチッと音を鳴らす。
どうしても、満身創痍で倒れたセフィドが脳裏にチラついた。
「ねぇラヴィ。市街地にあるアンドロイドのコミュニティへ行ってよ。そこでならきっと、完璧な修理を施してもらえるだろ」
ラヴィはこちらを振り返りもせずに、はははと笑う。
「何をおっしゃいます。こんな骨董品が行ったところで門前払いでしょう」
「そんなことないよ。ラヴィは旧型とは言え、カテゴライズは最上級職だ。きっと手厚く迎えてくれる」
ピタリと作業の手を止め、ラヴィがゆっくり振り返る。その表情は、明らかに憤っていた。
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