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では、どうしてにしおりをはさみました!
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では、どうして
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「私にとってこの世の終わりは、星の消滅などではなく、乃蒼様を失うことです」
離れたくないと訴えるように、ラヴィの腕にグッと力がこもる。
「僕だって、同じだよ……」
僕の側にラヴィがいない光景は、まるで想像ができない。
だけど壊れて二度と動かないラヴィは、それ以上に想像すらしたくない。
何が最善か。
ラヴィの胸の中で迷っているその時だった。
僕の目の前で、一際大きく青い閃光が走る。間近に感じるチリチリと焼けるような熱に、僕は思わず「うわっ」と身をのけ反らせた。
「の、乃蒼様、申し訳ございません!」
まさかラヴィ自身も、ここまで大きな放電は予想していなかったのだろう。
「なんとお詫びすればよいか……! お顔に傷はついておりませんね? 目も問題ない。あぁ、良かった」
僕の頭を両手で抱え、慌ただしく負傷箇所がないか確認していく。幸いなことに、目の前を走った小さな稲妻は、僕の前髪を少し焦がすにとどまった。それでもラヴィは僕の前髪を手櫛で整えながら、こちらが驚くくらいに狼狽している。
あんな派手な火花を散らしておいて、僕の心配をしている場合じゃないだろう。
ラヴィがあまりにも呑気に見えて、だんだん腹が立ってきた。
「お前こそ大丈夫なのかよ」
「私のことはどうでも良いのです。それより、乃蒼様にもしものことがあったら……」
「いい加減にしろよ!」
自分のことをどうでもいいと言い切るラヴィに、焦りと怒りをごちゃまぜにしたような感情が、一気に沸き上がる。
「どうでもいいわけないだろ⁉ 命令だ、今すぐ市街地へ行ってメンテナンスを受けて来い!」
感情に任せて言い放った後、しまったと思った。
「命令」を口にしてしまった。
ラヴィの表情が、みるみる悲しそうに歪んでいく。
「乃蒼様……」
僕は両手で口を押えたけれど、こぼれた言葉はもう元には戻らない。
命令は絶対だ。ラヴィはここを離れるだろう。
でも、それでいい。それでいいはずだ。
ラヴィが本当に壊れてしまうくらいなら、仕方ないじゃないか。
そう思っているのに、いざ本当にお別れとなると、僕の両目からは嘘みたいにボタボタと涙が落ちた。
僕は情けなくなって、隠すように目を押さえる。
「ち、違う。僕はちゃんと覚悟出来てる」
「では、どうして涙を流されているのです」
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