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心配性な彼の考察と見解
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理央の奴がいないとクラスの男子が騒いでいた。
何かあったのか。
昔からあいつはふらふらしてるし自由な奴だったから俺は心配でしょうがなかった。何故ここまでして俺、井下翔が奴の世話をやいているのか。それはまたいつか話そう。
しばらくしてから教室に理央が戻ってきた。心なしか元気が無い。というかぐったりしている。何かあったのか問いただしてみる。こいつは大体嘘をつくときは目を合わせようとしない。昔から変わらないその癖に俺はすぐさま気付いた。
理央は襲われた、と話した。その行為自体には物凄く腹が立つし大事な友達がそんな目に合っているのを聞き驚きを隠せない反面、やはりと思ってしまう所もあった。小さいときから綺麗な顔立ちはしていたし女には勿論男も興味を示してくる奴はいた。今回は神戸会長が助けてくれたらしい。気付けなかった俺も悪いと思い些(いささ)か自己嫌悪になる。
危機感を持て、と何回か言った事はあったが理央自身はそこまで真摯に受け止めていなかった。無防備な面を晒した所で男にそういう対象で見られてるなんて微塵も思ってないだろうからな。
人と一線を引いて接する理央が事あるごとに翔、翔と言ってくる。それは別に構わないがここで俺の元に縛り付けてしまう事もない、そう思ってはいる。俺の言う事を全て分からせようなんて気は更々ない。
それ程までに他の人間に興味を示さない奴だったが…そんな理央が僅かに顔を赤らめシャツの持ち主を口にした。
「あ、えーと、こう…神戸に借りた」
…浩志って言いかけてるな。その後からもう理央は何もかも話してきた。もう色々と決定的じゃないかな。理央は変な所で鈍い。喧嘩に関してしか鼻が効かない。キスの事も副会長の事も。
「お前それさ、会長の事好きだろ?」
「はあ?!」
顔を真っ赤にして叫ぶ理央。うるさい。
これでもう、当たりかな。
本人は絶対気付いてない、自覚してない。
男子が駆け寄り理央を囲んだ。何か言いたげにこっちを見てくる理央だったが、俺はわざと視線を外した。タイミングよく放送が入りクラス皆が教室を出始める。何やら悩んでいる理央から逃げるように俺も教室を出た。
お前本当に面白いよ。いろんな意味で。何かあれば何でも聞くし何でもしてやるよ。やっぱりお前は大事な友達だから。
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