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俺の友達。にしおりをはさみました!
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俺の友達。
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「稜太顔キモい」
ただいま昼休みです。
昼ごはんのパンを口に詰め込んでたら、いきなり友人から失礼な言葉を投げつけられた。
何だいきなりと視線を向ければ、その友人、もとい池部誠(いけべまこと)は呆れたような眼でこちらを見ていた。
「あんあお、いひあい」
「何言ってんのかわかんないわ」
「・・・・・・・・」
ハッとマコトが鼻で笑いやがった。
中学からの友人にじとっと視線を送る
黙っていれば可愛いのに。
少し茶色がかったサラサラした髪にぱっちり二重の整った顔。まさに美少年。ていうかその辺にいる女子より可愛い。
だがしかし、見た目に反してマコトは言葉がきついのだ。あ、性格も。
反論しようにも口いっぱいに詰め込んでたパンのせいで上手く喋れない。
もごもごと必死に口を動かしていれば、横から紙パックのジュースが差し出された。
遠慮なくストローから液体を吸い上げる。
おかげで口の中のパンは無事に胃の中に辿り着いた。
「サンキューまこっちゃん」
「どういたしまして」
俺にジュースを与えてくれたのは大城戸亮(おおきどまこと)。
高校入ってから仲良くなった。
190の長身で尚且つガタイがいい。その上坊主で一見怖そうな印象なんだけど、実はかなり面倒見がいい。
「てかマコト、キモいって何だよ失礼だな」
「だから顔がキモいんだって」
机を挟んで正面に座るマコトに向き直れば更に失礼極まりない言葉を飛ばしてくる。
「悪かったな。どーせこんな顔ですよ」
「ちげーよ。昨日も変だったけど今日やばいぞお前」
「それ俺も思ってた」
「あ、俺も」
うんうんと賛同するまこっちゃん、ともう一人。幼馴染の夏目蓮。
茶色に染めた髪をピンで留めてる最中だ。
もちろん机の上にちゃんと鏡を置いている。
女子か。
「何かあったの?昨日から顔にやけすぎ」
前髪を上に留め終えた蓮が俺の顔をのぞきこんできた。
あとの二人も俺に視線を注いでいる。
思い当たることと言えばひとつだけ。
・・・言うべきなんでしょうか?
「・・・・・・」
ジッと俺に集まる視線。
これは理由言うまで解放されないパターンでは・・・
逃げることが出来ないと悟った俺は無駄な足掻きとばかりに、再度、口の中にパンを詰め込んだ。
「って言うことがあったんだよ」
三人の視線が集まる中、先週末の出来事、それから昨日のことを話した。
不良に絡まれたこと、それをイチヤさんという人に助けてもらったこと、その人がものすごく優しい人だということ、それから昨日偶然会って家まで送ってくれたこと。
もちろん自分のよくわからない感情については話してない。
本当に自分でもわからなくて、どう説明したらいいのかわからないんだ。
ていうかとりあえず話し終えたんだけど何でだろ、リアクションが返ってこない。
ちょっとの沈黙の後、一番最初に口を開いたのはマコト。
「稜太顔やばい」
「うん、真っ赤」
「え、うそ、」
言われて頬に触れれば、確かに熱い。
いや、話してる途中でイチヤさんのあの優しい笑顔思い出したら、ちょっとカーッとなったのは自分でもわかったけど、こんなに顔に出てたなんて。
熱くなった頬を両手で挟んでいれば、まこっちゃんと視線がぶつかった。
「・・・・・・」
「な、なに?」
ジッと黙ったまま見つめられる。
まこっちゃんは表情の変化が少し乏しいから何を思ってんのかよくわからない。
「恋する乙女だな」
「っ、は?えっ?」
唐突なその発言に目が点になってしまった。
ブハッとマコトが吹き出した。
「恋するオトメとか!その通りだわ!」
「だろ?」
っていやいやいやいや。ダブルマコトよ、なに意気投合してんの。
君たちの意見が合うとか珍しくて雨降りそうなんですけど。
ていうかここここ恋する乙女って
ど う い う こ と だ!
俺、男なんですけど!!!
二人を問い詰めようと口を開きかけたけど、蓮の言葉にそんなこと一気に飛んでった。
「イチヤって名前どっかで聞いたことあんだよなぁ」
バッと蓮に視線を向ければ、蓮は記憶の糸を辿るように一生懸命考えているようだった。
「ちょ、蓮!気になる!早く思い出せっ!」
「あー、りょうたそれうざい、やめて」
蓮の肩を掴んでガクガクと揺さぶれば、蓮の眉間にしわが寄る。
でもそんなこと気にしません。
だってイチヤさんのこと知ってるかもしれないんだぞ。
気になって仕方ないじゃん。
「やっぱ恋するオトメだな」
「だな」
後ろではダブルマコトがまた何か言ってる。
これ昼から雨だわ。
なんて思っていれば予鈴のチャイムが鳴った。
次は実習で移動だ。
早く行かなければと蓮を解放してやる。
「蓮!思い出したらちゃんと教えろよ!」
「わかってるって」
はいはいって感じの蓮の返答に満足しつつ、早く思い出せ〜としっかりと念を送ったのは言うまでもない。
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