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どうしよう。
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放課後。
俺は不貞腐れていた。
蓮は結局、イチヤさんについて思い出してくれなかった。
ぶー垂れる俺を宥めつつ、俺にお菓子を与えてくる蓮。
「今日はこれで勘弁してよ。わかったらちゃんと言うから」
「・・・・・」
そう言って眉を下げてる蓮を見るとちょっと申し訳ない気持ちになってきた。
「・・・わかった」
「よしよし」
「撫でんなっ!」
よしよしと頭を撫でてくる蓮の手を払うように勢い良く立ち上がる。
やっぱり撫でられるの嫌い。
「・・・・・・・」
「どーした稜太?」
思いっきり嫌がる俺を見てケタケタと笑っていた蓮だったけど、突然黙りこくった俺を不思議そうにのぞき込んでくる。
「りょうた」
「・・・なに」
「顔真っ赤」
「・・・・・」
わざわざ言うなよ。
自分でもわかってるんだから。
「どしたの?」
「・・・・」
言えない。
だってイチヤさん思い出しちゃったんだ。
大っきくてあったかくて優しい手。
頭撫でられるなんて、いつもは嫌なのに。
イチヤさんに撫でられるのは嫌じゃないって、嬉しいって。
そう思ってる自分がいたんだ。
たぶん、イチヤさんは俺にとって特別になってる。
会って間もないあの人が。
『恋するオトメ』
不意に、昼にまこっちゃん達が言ってた言葉を思い出した。
カーッと更に顔に熱が集まる。
様子がおかしいと心配したんだろう。
マコトもまこっちゃんもどうしたんだと俺を伺ってきた。
「稜太?大丈夫か?」
「な、なんでもないっ!!」
これ以上こんな顔見られたくなくて。
蓮たちには悪いと思ったけど、恥ずかしさのあまりそう叫んで教室を飛び出した。
俺を呼ぶ声にも振り向けなくて、全力で走った。
だって俺おかしいんだ。
あの人は男なのに。
思い出すだけで、熱が一気に上がるんだ。
心臓が痛いくらいに暴れ出すんだ。
あの正体不明の症状が何なのか。
気付いてしまったかもしれない。
どうしよう。
どうしようっ!
「うおっ!?」
「わ・・・っ!!」
必死に走り過ぎて周りが全然見えてなかった俺は、角を曲がって来る人に気付かずに思いっきりその人にぶつかってしまった。
悲しいかな、その反動で床に転がる。
「いったたた、」
「大丈夫か?」
「あ、すっすいません」
ぶつかった相手は大丈夫だったみたいで、倒れてしまった俺に手を差し出してくれた。
反射的にその手を取ろうと視線を上げれば、その人の足元が視界に入った。
こ、このズボンは・・・!!!!!
一気に背筋が冷たくなった。
サイドにオレンジのラインが入った紺色の作業着。
間違いなく、これは機械科の作業着だ。
言ってなかったけど、俺達が通う香月工業は不良が非常に多いのだ。
俺達がいる情報技術科は何故か大半がオタクで残りもほとんどが普通の奴ばっかりだけど、機械科はほとんどの割合を不良が占めている。
その機械科の生徒に全力でぶつかってしまったのだ。
やばい。これ死亡フラグ立ったよね、、、
どうか残り僅かな普通生徒でありますように
そう願いを込めて、そろ~っと視線を上げる。
しかし、願いは通じなかったようだ。
目に入ってきたのは、強面の金髪坊主。
しっかり剃り込みも入っていた。
おれ死んだ、、、
心の中で静かに涙を流した。
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