アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
シカバネ救出。にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
シカバネ救出。
-
「・・・何このシカバネ」
「・・・・」
昼休み。
いつも通りマコトとまこっちゃんが俺たちの前の席にやって来た。
俺を見るなり、マコトの第一声がそれ。
顔を上げるけど、でも反論する気にはなれない。
朝の蓮の言葉がショック過ぎて午前中はずっと、言われた通りシカバネ状態だった。
幸い移動とかなかったから、ずっと机に突っ伏してた。
「朝と違いすぎ」
よっぽどひどい顔をしてるのか、さすがのマコトも心配そうに俺をのぞき込んでる。
蓮はちょっと気まずそうにこっちを見ていた。
「蓮、お前何かした?」
「・・・・・」
こういうことには特に勘が働くのか、マコトは蓮に冷ややかな視線を送った。
蓮は所在なさげに視線を彷徨わせてて。
しかし、逸らされることなく注がれる冷たい眼差しに観念したのか、渋々口を開いた。
「した、っていうか、言った」
「何を」
「・・・・・」
マコトが怒ってる。
声を荒げるわけでもなく、むしろ冷静な物言いだけど、その冷ややかな目に明らかな怒気が含まれていた。
間に入ろうかと思ったけど、きっとマコトは聞いてくれない。
蓮にちょっと申し訳ない気持ちが出てきて、まこっちゃんに助けを求めようと視線を向ける。
でもまこっちゃんは止める気はさらさらないようで、人差し指を口の前で立てただけ。
「何言ったんだよ」
「・・・・・・」
「蓮」
「・・・・・・」
「・・・チッ」
だんまりを決め込む蓮にイラついたのかマコトは舌打ちをした。
相変わらず見た目とのギャップがあり過ぎだ。
不意にマコトが俺に視線を落とす。
「え、・・・うわっ」
マコトは突然俺の腕を掴んできたかと思ったら、無理矢理に立ち上がらせられた。
「あ、弁当持て」
「え、あ、うん」
意図することはわからないが、言われた通りに鞄から弁当を取り出した。
それを確認するとマコトはまこっちゃんに向かって、俺ら別に食うからって言って、俺の手をグイグイ引っ張って教室を出た。
目の端にまこっちゃんがひらひらと手を振るのが見えた。
「・・・で?何言われたんだよ」
「・・・・・」
連れて来られた校舎裏で二人で地べたに座れば、マコトが間髪入れずに聞いてきた。
何と無く言うのを躊躇ったけど、マコトの心配そうな表情に素直に口を開くことにする。
「蓮に、イチヤさんに、関わらない方がいいって、言われた」
「・・・・」
地面に視線を貼り付けたまま蓮に言われた言葉を伝える。
口に出したらまた気持ちが沈んでくる。
マコトは自分が聞いてきたはずなのに何にも言わない。
ちょっと居心地が悪かった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「それだけ?」
「え、」
「だから、言われたのってそれだけ?」
「え、うん・・・」
「他人に関わるなって言われたくらいで落ち込んでんじゃねぇよ」
「ご、ごめん・・」
心配して損したってマコトはボヤいて、はあって盛大な溜め息を吐いた。
見れば今度は呆れたような顔をして俺を見てた。
何だよってジトッと視線を返せば、マコトの手が近づいてきてデコに衝撃。
「痛っ」
「バカかお前」
デコピンしやがった。
何すんだよってデコをさすりながら刺々しく視線を送るけど、全く気にすることなく弁当を食べ出したマコトに仕方なく俺も弁当を開いた。
「稜太」
「なに」
「そのイチヤってヤツのこと好きなの?」
「!!」
思わずマコトを凝視する。
別にからかってる様子もなく、ただじっと俺を見てる。
真っ直ぐ見てくるその目にいたたまれなくなって、また視線を地面に移す。
どう答えようか迷った。
たぶん、俺はイチヤさんのこと好きなんだと思う。
でも、言ったらマコトはどんな反応するんだろう。
俺もイチヤさんも男なのに。
気持ち悪いって思われるかもしれない。
答えられずに黙っていれば、マコトはまた溜め息を吐く。
怖くて顔を見れなかった。
「・・・・・・」
「俺さぁ、誰にも言ってないけど付き合ってるヤツいてさ」
「へっ」
いきなり始まった曝露話に変な声が出た。
いきなり何なんだと、訝しげな視線を送ると、まぁ聞けよって窘められて、大人しく続きを待った。
「その相手ってのが、実は男でさ」
「!!!!!」
あまりの衝撃に箸を落としてしまった。
しかし、今はそんなこと構っていられない。
唖然とする俺にマコトはチラリと視線を寄越す。
「まぁ何つーの?好きになったら関係ねぇよ」
ふっとマコトが笑う。
今まで見たことない表情だった。
こんなにきれいに笑うマコトを俺は知らない。
たぶんきっと、その好きな人を思い浮かべてるんだと思う。
そんなマコトを見て、何でかわかんないけど涙が零れた。
勝手に溢れてくるそれはポロポロと頬を伝って落ちて行く。
「なっ何泣いてんだよっ」
「ご、ごめっ、・・ッ」
マコトがあたふたとしながら、遠慮がちに背中を撫でてくれる。
やっぱ良いやつだ。
困り顏のマコトを見てそう思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 72