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かも、じゃなくて。にしおりをはさみました!
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かも、じゃなくて。
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あっと言う間の昼休みだった。
好きな人と一緒にいる時間はこんなにも早く過ぎるんだって、今まで知らなかった。
今日も放課後、一緒に帰ろうって約束したし、ほんとに待ち遠しくて仕方ない。
早く放課後にならないかな。
「稜太、にやけすぎ」
「え?」
もう本鈴が鳴ろうかと言う頃、横から飛んで来た声にチラリと目を向ければ、半ば呆れたような表情をした幼馴染。
もうその目は普段の半分以下の細さだ。
「稜太、お前ほんと顔に出るよな」
「え?うそ」
「ほんと」
思わず頬を両手で挟む。
自分では無自覚なだけに恥ずかしい、、、
カーッと頬に熱が集まるのを感じた。
しかし、そんな俺に蓮は容赦ない。
「はあ、」
盛大に溜め息を吐く蓮。
そんな幼馴染の態度に傷付いてみるも、でもほんとは心配してくれてるだけだって知ってるから。
「蓮ごめんね。聞き分けなくて」
「・・・別に、稜太がいいならいい」
「ありがと」
「ん」
チャイムが鳴って先生が入ってくる。
蓮は気付いてるかもしれないけど、壱也さんを好きだってこと、ちゃんと言いたい。
受け入れてもらえるかなんてわかんないけど、蓮にいつか言えるといいなって思った。
長い授業に耐えて、待ちに待った放課後。
昨日にも増してソワソワしている自分がいた。
好きってちゃんと自覚したからか、こんなにも違うものなのかとちょっとびっくりだ。
帰る準備はばっちり。
あとは壱也さんを待つのみで。
ただ、ちょっと心配なことがひとつ。
「・・・・・」
「・・・顔ヤバイんですけど」
それは、これ。
今まで見たこともないような不機嫌マックスな表情の蓮。
さすがのマコトも引いている。
困った。
考えてなかったわけではないけど、ここまで蓮が不機嫌になるとは・・・
壱也さんが迎えに来るんだって言った時の蓮の顔はそれはもうすごかった。
一応、俺がいいならいいと言ってくれた蓮だけど、関わること自体反対してたんだから仕方なくもないけど。
どうしたもんかと思っていれば、動いたのは意外にもまこっちゃんだった。
「蓮、帰るぞ」
「「「え、」」」
思ってもなかったことに、見事に3人の声が重なる。
でもまこっちゃんは驚く俺たちには構わずに、蓮のカバンを引っ掴んだ。
ポカンとしてしていれば、まこっちゃんが俺の肩をポンっと叩く。
気をつかってくれたんだ。
思わずごめんって口を開きかけたけど、まこっちゃんが唇の前で指を立てて少し口元を崩したから喉まで出かかっていた言葉を飲み込んだ。
「じゃあな」
「あ、うん。また明日」
「じゃな」
歩き出すまこっちゃんに俺とマコトが声を掛ければ、唖然としてた蓮がカバンを持って行かれたことを思い出したのか慌ててまこっちゃんを追いかけた。
「また明日な!」
そう言って蓮は教室を出て行った。
残された俺とマコト。
しばらく、2人が出て行ったドアを見つめたままで。
「アイツ意外と気がきくな」
「でも、何か悪いことしちゃったな」
「まぁいいんじゃね?あのまま本山さん来てたら、蓮噛み付いてただろうし」
「・・・そーかも」
蓮にもまこっちゃんにもごめんって心の中で謝っていると、机の上のケータイが震える。
見れば、期待通りの壱也さん。
昨日と同じように、今から行くってメールが入ってた。
とくとくと心臓が早鐘を打ち始める。
待ってますってメールを返して、無意識にケータイを握りしめる俺にふっとマコトが口元を緩めた。
「昨日本山さんとなんかあった?」
「えっ、な、なんで、」
「何となく」
何でかな、マコトには何でもバレてしまうらしい。
俺を見るマコトの目が何故だか優しくて、妙に恥ずかしくなった。
「俺さ、壱也さんのこと、好き、かも、じゃなくて、ちゃんと、す、好きみたい」
言いながら、段々と顔が熱くなってきて、きっと真っ赤だろう顔でそう言うとマコトは嬉しそうに笑って、がんばれよって言ってくれた。
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