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友人の危機。にしおりをはさみました!
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友人の危機。
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※誠side※
教室のドアのとこで、稜太と話している知らない奴。
でも何かどっかで見たことのあるような顔で、不躾にそいつに視線を送る。
たぶん俺らより上だと思うけど、見た目からして気に入らない。
チャラチャラしててどっかのホストですかって感じだ。
何であんな奴が稜太に用があるのかイマイチ腑に落ちない。
それに、稜太を見るあの目が気に入らない。
嫌な感じの目だ。
少しばかりイライラし始めた頃に、話しが済んだのか稜太が戻ってきた。
でも、
「ごめん。ちょっと用事出来たから先帰っといて!」
思ってもなかった言葉にちょっと驚いた。
「了解」
蓮は蓮で、軽く返してるし。
本山さんが絡んだ時はあんなに機嫌悪かったくせしてなんだコイツ。
ドアのほうを見れば、チャラいあの男がまだいた。
用事って言うのはたぶんあの男。
何か嫌な感じがして、咄嗟に離れて行こうとする稜太の腕を掴んだ。
肩を組むように稜太に顔を寄せれば、何だろうって感じの間抜けな面。
「あいつ知り合いだったん?」
「いや、知らないけど、壱也さんの友達だって」
「友達?」
「うん。壱也さんが呼んでるんだって」
「本山さんが?」
「うん。だからちょっと行って来る」
「あっおい!」
俺の心配を他所に稜太は俺の腕をすり抜けて行った。
意外とすばしっこいからあっという間に教室から出て行った。
本山さんが呼んでるって?
ちょっとおかしくねえか。
連絡先知ってんだから直接連絡してくるはずだろ。
つーか、本山さんが稜太の事でわざわざ人使うか?
大丈夫かアイツ。
知らず知らず溜め息をついていると、遅れて帰り支度を終わらせた大城戸が俺らのとこに来た。
「さっきの奴ヤバくないか?」
「ホストみてえだったもんな」
さっきの男を思い出して鼻で笑ってみたけど、大城戸が吐いた言葉に一気に血の気が引いた。
「いや、違くて。さっきの3年の奴じゃなかったか?」
「はあッ!?」
「たぶん赤城の取り巻きの奴」
「ばっか、お前、それ先に言えよ!!」
「誠!?」
持っていた鞄を大城戸に押し付けて。
驚く2人をそのままに教室を飛び出した。
まじでシクった!
そうだよ、アイツ赤城の取り巻きの前田だ。
中学ん時に何回か見たことあったのに、髪とか雰囲気が変わってたからわからなかった。
たぶん、向かった先は赤城たちが溜まり場にしてる実習棟の使われていない倉庫だ。
赤城のグループは本山さんたちに一回潰されてる。
だから、逆恨みとかしててもおかしくない。
本山さんの名前を使って稜太を連れ出すとか、間違いなく良からぬことを考えてる。
稜太たちに追いつこうと急ぐけど、下校時間のせいで雑然とする廊下では人にぶつかりそうになるのは仕方ないと言える。
でも。
まじでたむろってるヤツら邪魔すぎ!
殺意を込めて睨みつければ開いた道筋を遠慮なく突き進む。
焦る気持ちを抑えてケータイを引っ掴んだ。
『はい』
「ごめんっ桐吾、俺だけどっ」
『誠か。どうした?』
「本山さんいる?」
『いるけど』
「ごめん、代わって!」
『わかった』
普段慌てることがない俺に余裕がないことを感じとってくれたのか、桐吾はすぐに本山さんに代わってくれた。
『もしもし、セイ?』
「ごめん本山さんっシクった!」
『どうした?』
「やばい!稜太、3年に連れてかれた!赤城の取り巻きの奴!」
『いつだ?』
「ついさっき!今追っかけてる!たぶん実習棟の倉庫んとこだと思う!」
『わかった。すぐ行く』
そう言ってブツリと電話が切れて、やっと人がまばらになった廊下を全力で駆け抜ける。
階段を駆け下りるのも面倒で手すりを軸に飛び降りた。
大事な友人に危害が加わる前にどうにか間に合ってくれと人気の無くなった実習棟への通路を走る。
角を曲がった先、渡り廊下の向こうに見慣れた後ろ姿と気に入らない男の姿が見えた。
「稜太!!」
普段出さないほど声を張り上げたけど、稜太は少し辺りをキョロキョロしただけで俺に気付かなくて。
あと少しというところで、校舎の影に2人の姿が消えた。
くっそ!間に合わなかった・・・!!
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