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18歳以上ですか?
わかんなくていい。にしおりをはさみました!
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わかんなくていい。
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「…も、だいじょぶ、です…」
どれくらい壱也さんにしがみ付いていたのか。
涙が止まる頃にはすっかり瞼は重くなっていた。
「落ち着いたか?」
「はい…、すいませ、」
泣き腫らした顔を見られたくなくて、俯きがちにゆっくりと身体を離すと悲惨なことになっている壱也さんの服が目に入った。
さっき着たばっかりの服なのに俺が顔を押し付けてたせいで、その部分がぐっしょりと濡れてしまっている。
もしかしたら鼻水までついてるかもしれない・・・(ちーん)
「すすす、すいませんっっ!!」
「?なに?」
「ほんとすいませんっ」
土下座しそうな勢いで慌てる俺に壱也さんが首を傾げる。
でも俺の視線の先に何があるのかすぐにわかったようで、濡れた箇所を確認すると壱也さんは小さく笑った。
ぽんぽんと頭を撫でられて、さっきのとは違う意味で涙が出そうになった。
もうほんと俺って迷惑かけてばっかりだ。
「これくらい気にすんなって」
「いや、でも、ほんと申し訳なくて…」
壱也さんは優しく笑ってくれるけど、申し訳ない気持ちは膨らんで更に項垂れる。
「稜太、ほんとに気にすることじゃねえから」
「でも・・・」
迷惑かけまくりだし、変なところばっかり見せてるし、ほんとに呆れられたらどうしよう。
ようやくおさまった涙が再びせり上がってくる感覚に唇を噛みしめていると壱也さんが小さく息を吐いた。
溜め息とも取れないそれにビクビクと視線を上げると不意に重なる影に俺の動きは止まる。
瞼にそっと触れた唇が優しく弧を描いた。
「稜太、マジで気にすんなよ。別に迷惑とか思ってねえし」
「・・・・・」
な?って顔をのぞき込まれて反射的に首を縦に振っていた。
俺は不意打ちに弱いんです。
それにそんなに優しく微笑まれたら頷くしかないじゃないか。
今ので完全に涙は引っ込んでいた。
「じゃあもう気にすんなよ」
「・・・はい」
こくりと頷く俺に壱也さんは優しく笑って、赤く染まった俺の頬を両手で挟むようにして引き寄せた。
コツンとお互いのおでこがぶつかって目の前に整った顔が迫る。
近過ぎる距離におずおずと視線を合わせると優しく細められる目に更に体温が上がった気がした。
「お前が俺の前で泣いてくれんの、嬉しかったりすんだよ」
「え?」
壱也さんの言葉に脳内が疑問符で埋め尽くされる。
不思議がる俺に壱也さんは小さく笑うと、わかんなくていいって呟いた。
元から近かった距離が更に縮められて唇を塞がれる。
そっと触れるようなキスを受けながら、さっきの壱也さんの言葉を頭の片隅で反芻していた。
その言葉たちにたぶん嘘はなくて、ほんとに気にしてなさそうな壱也さんの様子に安心した。
でも、そんな余裕が続くはずもなく。
触れるだけのキスが啄ばむようなものに変わって意識が引き戻される。
無意識に壱也さんの服を掴んでいた。
「・・・ん、」
唇をなぞる舌先に、ぞくりと疼くような甘い痺れが腰に響く。
微かに開いた唇の隙間から侵入してきた舌に壱也さんの服を更に強く掴んだ。
「…んっ…ッは、」
上顎を擽られたかと思えば、舌を絡め取られてゆるく吸われる。
慣れない刺激に漏れ出る声が恥ずかしくて壱也さんにしがみ付いた。
伏せた瞼に生理的な涙が滲み始めた頃、ようやく唇が解放された。
「今日はオチんなよ」
「、っ…」
じっと見つめられて呟かれる言葉にこの間のことを思い出して全身の体温が一気に上昇する。
息も絶え絶えに頬を真っ赤に染め上げる俺を見て妖しく笑った壱也さんに下唇を甘噛みされた。
壱也さんのその表情は今まで見たことないくらい妖艶で、ゾクンと身体の奥が疼いた気がした。
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