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輪廻の先でもまた愛そう。Ⅰにしおりをはさみました!
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輪廻の先でもまた愛そう。Ⅰ
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まだ見ぬ未来でも、約束して欲しい。
僕を、好きになってくれるって。
「……いいぜ。約束する」
だけどな…きっと、オレはお前のことは忘れてしまっているんだ。
一つ目の願いは、みんなが望む姿で生まれ変わること。
二つ目の願いは、向こうの世界でみんなが幸せであること。
代償は―――前世の記憶だ。
***
けたたましいサイレンの音で目が覚めた。
「うわっ!?」
驚きのあまり、ベッドから転げ落ちる。
痛みに腰を摩っていると、パソコンがパッと明るくなり、大爆笑するエネが現れた。
「ご主人、いつまで寝てるんですかっ!叩き起こして差し上げれば、間抜け面を晒して…くっ…あはははははっ!」
「う、うるせぇっ!」
「ぎゃはははははっ!」
「くっ…!」
悔しさにぎりりと歯軋りをする。どうしてこんなに笑われなきゃならないんだ。
こいつ___エネは、一年前、オレ、如月シンタローのパソコンを乗っ取り、それ以来迷惑極まりない悪戯を繰り広げてきた、正体不明の高性能AIである。
「大体、時間考えろよ!こんな朝早くから近所迷惑だろ!」
「……?ご主人、時計、時計」
「は?」
エネに言われ、恐る恐る時計に目をやる。
デジタル時計は、丁度七時五十分を示していた。
「ちっ、遅刻だぁっ!?」
「だからおこして"差し上げた"って言ったじゃないですかぁ!」
ケタケタと笑いながら"差し上げた"を強調されイラっとくるが、仕方が無い。
オレは人目を憚らず、寝巻きを脱いでシャツを着た。エネしか見ていないし、エネは女子の部類に入らないと思う。
ボタンを一つ一つ嵌めるのがもどかしい。
やっとシャツを着て、ネクタイをしめ、ブレザーを羽織り、オレはバッグを持って飛び出し、
「ご主人、下が寝巻きのままです!」
「早く言え!」
「行ってらっしゃ~い………」
ヒラヒラと手を振り、きちんと着替え終えたご主人を見送る。
ぱたん、と扉が閉じられると、私は深く溜息をついた。
「はぁああ~、やっぱりご主人がヒキニートじゃないって、慣れませんねぇ」
しかも、ご主人だけ記憶がないなんて。
しかしまあ、この転生後の世界ではアヤノちゃんも生きているのだから、ご主人が引きこもる理由もないだろう。
初めてこの世界でご主人と再会した時は、酷く取り乱したものだ。
確かに一緒に生きていたのに、その記憶が綺麗さっぱりなくなっていたのだから。
でもまあ、
「再会できるだけ感謝しなくちゃいけませんよね」
それでもやっぱり、辛いものは辛い。
もしご主人の記憶がないことを知ったら___吊り目さんはどう思うでしょう?
「ああ……こんなこと私が考えても仕方ないですよね」
二人の問題なのだから。
それに、きっと大丈夫。二人なら上手くやってくれる筈。
「さて、私も学校に行きますか!」
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