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18歳以上ですか?
お盆の日(エロなし)にしおりをはさみました!
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お盆の日(エロなし)
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亜紀斗は俺と5つ歳が離れた従兄弟である。明るく元気な性格で、綺麗な外見、美しい身体を持った俺の自慢の従兄弟。
毎年お盆の日に再開してはくだらない話をして盛り上がったり、そんな些細な関係だった。
しかしある日、その関係が崩れた。
あれは3年前のこと。
毎年のようにお盆の日に親戚のみんなと合流し、久しぶりの再開を祝いビールやらなんやらで乾杯していた時のこと。
『風琴(ふうき)さん』
不意に亜紀斗に呼ばれた。
その時の亜紀斗はまだ15歳で、俺は丁度20歳になる年だった。
呼ばれるがままに亜紀斗についていくと、
『ッッんん!?』
突然、勢いよく唇を奪われた。
その時の亜紀斗は、目に涙をいっぱいに溜めながら苦しそうな表情をしていた。
なにがあったのかは分からないが、かなり弱っているようだった。いつも煩いくらいに明るい亜紀斗が悲しそうにしている姿を見るのはやっぱり辛くて、魔がさした。
男同士なのに。従兄弟同士なのに。
俺はそのまま亜紀斗を受け入れてしまったのだ。
それがきっかけだった。
それを機に、毎年お盆の日には亜紀斗とそーゆーことをするようになってしまった。
一度受け入れてしまったのは自分だから、もうやめろ、なんて言い出せなくて。
そんな年が続きついに今日で3年になる。
俺も23歳で、亜紀斗も18歳。
互いにいい年齢である。
今日でこの関係を終わらせる。
そんな気持ちで本家である亜紀斗の家へと向かった。
*
「風琴さん!待ってたよ〜!!」
3年前の日以来、亜紀斗が悲しそうな表情をすることはなくなり、以前までの元気な亜紀斗に戻っている。
けれどそれでも行為は続いているわけで。
なんとなく気まずそうにしながらも俺は、久しぶり!と明るく笑ってみせた。
ある程度みんなとわいわいしていたところで、毎年のように亜紀斗に呼ばれた。
連れてこられたのは、いつもと同じ亜紀斗の部屋。
かちゃり、と部屋の鍵をしめた亜紀斗は俺の元へやってくるなり優しく抱きしめた。
「…久しぶり、風琴さん……。俺、ずっと会いたかった。会ってこうやって…キス、したかっ」
「亜紀斗!」
宝物を扱うような優しい声。
亜紀斗が分からなくなる。
俺は思い切って亜紀斗の言葉を遮った。
言う。言う、んだ。
ちゃんと目を見て、はっきりと。
「も、もう…こーゆーことは、そのっ、やめにしないか?」
少し声が震えた。
けど、大丈夫。ちゃんと目を見て、泣かないで、気持ちを伝えられた。
「…………」
黙り込んだ亜紀斗を伺うようにして見上げてみると。
「ッ……あき、と…」
あの日と同じ、今にも壊れそうな傷ついた表情を浮かべていた。
亜紀斗は少し間を置いてからゆっくりと口を開いた。
「…分かった」
亜紀斗は弱々しく笑って言った。
これで、この関係は終わる。
来年会った時は、何事もなかったようにまた亜紀斗と楽しく会話できる。
これが、俺の望んでいたもの。
「えと、じゃ…そろそろ俺戻るね!風琴さんも一緒にみんなのとこ……、って、どうしたの…風琴さん…?」
もう亜紀斗とはキスもしない。抱きしめられることもない。
それが、俺の望んでいたもの。
「………い、や…だ」
望んでいたもの、だったのに。
亜紀斗とは普通の関係でいること、それが俺にとっても、亜紀斗にとっても幸せでいれる。
そう思っていたのに。
いざ離れる、となると、涙が、止まらない。
「嫌だ…亜紀斗。お前とずっと一緒に……いたい……」
気付いてしまった。
あの日を境に、俺の何かが変わっていた。いつも笑顔の亜紀斗が、俺の前では苦しさを打ち明けてくれる。
だからキスも拒めなかった。
誰にも見せない亜紀斗の弱い部分を、俺だけに見せてくれた。
そのことが、ひどく嬉しくて。
お盆の日が待ち遠しくなって、亜紀斗に会いたくて堪らなくなった。
でも、この感情は普通じゃないから。
亜紀斗も、”俺を好きだから”ということじゃなくて、ただ甘えてるだけなんだから。
だから俺は、変な期待なんて持っちゃダメなんだ。
そう思うことで、現実から逃げていた。
なのに俺は結局、自分から亜紀斗を求めてしまうんだ。
「俺、亜紀斗のこと…!」
ーー好きだ。
そう伝えようとしたその時、
「俺の方がずっと前から好きだったッ!!」
亜紀斗の張り詰めた声が聞こえた。
「あ、亜紀斗……?」
「風琴さんに言われてたまるかよ…!風琴さんに出会った瞬間、惚れたんだよ……。ああ、俺、この人が好きなんだなって思った。3年前は自分の気持ちに抑え効かなくて、優しい風琴さんにつけ込んで無理矢理キスした」
ぽつりぽつりと亜紀斗は言葉を紡いだ。
「それなのに今日、風琴さんに”終わりにしよう”って言われて…。もう完全にダメだな、って思って潔く立ち去ろうとしたのに……なのに…ずっと一緒にいたい、なんて…。もう俺頭ぐちゃぐちゃだよ…」
耳を疑った。
亜紀斗の言葉が信じられなかった。
俺も頭がぐちゃぐちゃだ…。
でも、ぐちゃぐちゃな頭に反して身体は柔軟に動く。
「亜紀斗ッ…!」
気付いたら亜紀斗に抱きついていた。
「俺、お前が好きだ…。あの日から亜紀斗でいっぱいなんだ…」
腕の中にいる、自分よりもデカイ亜紀斗をきつく抱きしめる。
亜紀斗の肩は小刻みに震えて、鼻をすする音が聞こえてきた。
そんなところは昔と全然変わってなくて、優しく背中を撫でながら初めて俺から唇にキスを落とした。
「〜〜ッ!?」
亜紀斗は突然のキスに目を見開き驚いていたが幸せそうに微笑んだ。
「風琴さん…今日絶対泊まってけよ……!」
そんな彼の誘いに俺はコクリと笑顔で頷いたのだった。
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