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眠り姫への約束にしおりをはさみました!
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眠り姫への約束
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「だれ…?」
「…」
掠れた声でそう呟くと、青年は何も言わずに近付いてきた。
そして、あ、と思った瞬間には、青年に抱きしめられていた。
「な、に…」
「……アイル」
「…っ」
優しくて甘い声色に、心臓がドキドキと高鳴る。何でだろう、苦しいような、嬉しいような…変な感じ。
青年は、俺の名前を何度も何度も呟きながら、そっと背をさすってきた。
体の奥から、ぞくぞくとしたものがかけ昇る。
「…あ…血、が」
ぬるり、としたものが手に当たり気づく。
青年の服は血に塗れていた。
「気にしなくていい。返り血の方が多いから」
「でも…」
「アイルは優しいな…」
ちゅ、と額に口付けられる。
…何だか恥ずかしい。
「大丈夫。少し、眠ってていいから」
顎を持たれ、上を向かされる。
カッコいいなぁ…と見とれていると、唇に柔らかいものが押し当てられる。
目を開いたまま、きょとん、としていると、舌で唇の表面を舐められた。
こういうときは、どうすればいいんだっけ…?
「…少しでいいから、開けて」
「…」
青年に言われるがまま、うっすらと口を開く。するり、と青年の舌が入り込んできて、咥内を優しく伝う。
何度も何度も、角度を変えて繰り返し施されるキスに、溶けそうになる。このまま時が止まればいいのになぁ、と思っていると、口の中に、固形物が混じった。
「飲んで?」
「…ん、」
抵抗もなく、俺はそれを飲み込んだ。
そのまま、今度は愛おしむように目や、頬や、耳などに口付けられる。
だんだん眠く、なって…き、た…
*
遠くで声が聞こえる。
「おい、クソじじい。アイルの容態は?」
「てめぇ…それが人にものを聞く態度か?」
「昔から変わらねぇだろ」
「このクソガキが」
「で、どうなんだ」
「…精神錯乱系の薬を打たれたみたいだな。とりあえず薬から離れさせろ。薬が切れたら暴れるかもしれないな…自傷しないように見張れ。四六時中な」
「そのつもりだっての」
「…ただ、記憶が戻るかどうかは分からん。一生戻らないかもしれないし、何かの弾みで戻るかもしれない」
「ふーん。別にそれはどうでもいい」
「あ?」
「壊れても、また作り直せばいい」
「…てめぇ、いくら厭われてる王子でも、手を出したらなぁ…」
「大体さ、記憶なんてまた同じになる。だってアイルは俺が好きなんだから」
「話を聞け」
「それでずっと俺のそばにいるんだ」
「なぁ、アイル?」
夢心地の中、頭を撫でられる。
ああ、この手、どうしてこんなに…懐かしいのかな…
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