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程なくして注文したものがテーブルに並ぶと、
凪の顔は溢れんばかりの笑顔になった。
すっごーい!! エビフライ太いしでっか!!
こっちのフライはなんのフライなんだろ?何にせよボリューミーだし、この定食、当たりだ、当たり!!
凪は一般男性の平均値の背丈で痩せ型なので度々驚かれるが、沢山食べる。普段は質より量をとるくらいだ。小さな声で、わぁ!とか、んー!とにこにこ呟きながら食べ始めた凪を、恭司も雅臣もほっこりした顔で見ていたが、次の瞬間凪を見つめ2人揃ってピタッと時が止まった。
「......ん、はぁ...、大きすぎて口の中に入りきんない...」
エビフライの先っぽからかぶりつき、悩ましげな顔で何度もトライする凪に、恭司も雅臣も別の事を連想しその口元に釘付けになる。おまけにその口元に付いたタルタルソースの白が卑猥な妄想を助長させていた。
角度を変えてみたりと、エビフライにむしゃぶりつく事数分、そんな凪を見ながら恭司と雅臣は卑猥な妄想を膨らませ続けたが、次の瞬間、凪の頑張りが報われエビフライの先っぽ3㎝ほどが、ザクリ!と小気味良い音をたてて噛みきられた。
「「 !!!?っ、...っ、」」
あらぬ妄想を膨らませていた2人はエビフライが噛みちぎられた瞬間、眉間にシワを深く刻ませ顔を顰める。
「......ん??」
痛恨の極みと言った顔の恭司と雅臣をキョロキョロ見やり、何があったか解らない凪は食べる手を止めて見つめた。
「......凪くん、エビフライ一度プレート置いて、フォークとナイフで食べようか。」
恭司に苦笑いで言われ、凪が持っていたエビフライがまるでスローモーションの様に降りていく。どうしよう、丸かじりなんて世間一般じゃはしたないんだ。専務も常務もあんな苦々しい顔して見てる。なんて常識の無いヤツなんだって呆れたんじゃ。秘書でこれってどうなの?
...クビになる?と不安で顔が蒼白になる。
検討違いの心配をし、茫然とした凪に見つめられた恭司は、エビフライを取り上げられたのがそんなに哀しかったのかな、などと思案しながらも、その可愛いらしさに抱き締めてしまいたい衝動をぐっと堪え、凪くんと恐る恐る声をかける。
「...ふっ、不快な思いをさせて申し訳ありませんでしたっ!!もう、エビフライ丸かじりなんて金輪際しません!!マナーもちゃんと学びます!!
...だから、...だから、」
と凪は頑張って訴えたが、うるうると涙が込み上げてきて喋れなくなる。
ちゃんと言わなきゃ、ちゃんと、と焦っていたら、前から徐に手が伸びてきて、口の端に付いていたと思しきタルタルソースを指で掬った。
「 ─!!?」
ビックリして雅臣を見ると、さも当たり前の様にその指のタルタルソースを舐めとり、
「違げーよ。マナーどうのこうのじゃなく、でっけーエビフライ口に突っ込んで色っぽい顔してたからだ。変な妄想しちまうからやめろって言ってんの!噛まれたら痛てぇだろ?歯をたてんなよ。たくっ。」
.........は?......えっ?
── っ!!?
暫く考えた後、ようやく意味が分かり凪は驚く。
何この人、...変態じゃん。
と、言わんとすることに気が付いた凪が汚物でも見るような目で雅臣を見るも、当の本人は飄々と笑っている。
すると、ごめんねと苦笑気味に言いながら、雅臣が掬いきれず口元に残っていたタルタルソースを備え付けの紙ナフキンで拭きながら恭司が謝ってきた。
「 ── えっ!?」
嘘でしょ!?専務も?
雅臣の時とは違い、驚きの表情で恭司を見るも、苦笑しながら肩を竦めてみせるその仕草に今さっきの驚きを忘れ見惚れてしまった。
「ほら、早く食って戻んねぇーと、槇野にドヤされっぞ!!」
雅臣の言葉に、秘書室での絶対零度の槇野を思い出しハッとした。こうしちゃおれんと、その後は終止黙々と食事をした。
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