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11にしおりをはさみました!
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エレベーターの中では社食へ行く前のデジャヴかと思うほど恭司に心配され、挟んだのは指なのに頬に手を添えられ大丈夫?と何度も聞かれた。
それをこれまたデジャヴかと思うほどのニヤニヤした雅臣にじーっと見られ、恭司に頬を掬われたまま赤面で雅臣にチラチラ視線を送る。
乗っても、乗らなくても恥ずかしい思いするなんて。と、やっと恭司の手から解放された凪はやはり真っ赤な顔で到着するまで俯いていた。
39階の重役階に到着し、降りる時は問題無くこなせた。
やっぱり常務のせいじゃん......。
難無くこなせた作業を振り返り、根に持っていた雅臣への苛立ちをほじ繰り返す。
大っぴらには出来ないので、雅臣がこちらを見ていないのをちゃんと確認してから恨めしい目を向けた。
「さて、では業務に戻るとしようか。凪くんは秘書室から先程のファイルを持って専務室においで。」
一人で持って来れるかな?と微笑む恭司に聞かれ、大丈夫ですと微笑み返す。行って参りますと秘書室に足を向けようとして気付いた。
そっか、雅臣常務とはここでお別れだな。
...一応言っとくか。
「雅臣常務、此方で失礼致します。先程は有難う御座いました。」
照れくさそうにお辞儀をする凪を見て、何の礼を言われたのか解らないといった様子の雅臣。
「...エレベーター、押さえて貰ったので。」と小さく呟やかれようやく合点がいった。
「別に礼なんていいよ。」
雅臣がその仕草の可愛さに頭をぐしゃぐしゃ撫でると、凪はちょっと恥ずかしそうな顔で微笑み、失礼致します。と秘書室へ歩いていった。
そんな凪の去っていく後ろ姿を見つめていると、
「雅臣」といつもより少し低めの恭司の声。その声になに?と雅臣は動じる事なくニヤリと笑う。
「解っていると思うが、凪くんは私の秘書だ。
余計なちょっかいを掛けるのは止めてくれるかな?」
凪の前ではしない意味深な冷笑で言った恭司は、雅臣の返事も聞かず、これは忠告だよ。と言うと貴公子宛らとしたスマートな立ち振舞いで立ち去った。
その後ろ姿に「へぇへぇ、 お兄様。...忠告、 ね、」と、また、雅臣も意味深な笑みを浮かべた。
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