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20にしおりをはさみました!
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20
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専務、会ってくれるかな...、ここまで来たものの、会ってくれなかったらどうしよう...。
常務室の扉に手をノックする形にした状態で上げたり下げたりしている。怖くて今一歩が踏み出せずにいた。すると中からガシャーンと何かが割れる音が鳴り響き、「凪くんに何をしたか言え!!」と恭司の怒鳴り声がする。
専務!!?
恭司が自分の名を出して怒鳴っているのを聞き、凪は慌ててノックもしないで扉を開けた。
常務室の中では、向かいのソファーに座る雅臣の胸ぐらを掴んでいる恭司が居て、ローテーブルの周りには煙草と薄い緑色の硝子の様なものが割れて散らばっていた。
「 よぅ、凪!ちょうど良い所に来た!」
胸ぐらを掴まれているにも関わらず、へらへらした顔で雅臣がこちらへ片手を軽く上げてきた。
見ると、その唇の端が赤黒く腫れ上がり、血が滲んでいる。
── っ!? あれって恭司専務が 殴った...?
ビックリして佇んだまま、専務と聴こえるか聴こえないかの声で呟くと、その声が聴こえたのか、雅臣の胸ぐらを掴んだまま、恭司は前傾していた背筋を伸ばしゆっくり凪の方へ振り返ったが、その顔は酷く哀しげだった。
......っ、専務っ、
そのあまりに哀しげな恭司の顔を見たら胸がズキズキ痛む。自分の胸元を握り締め、身体が勝手に動いていく。カシャッ、ガシャッと割れた何かを避ける事もせず踏みつけて凪は恭司のもとへ向かう。
硝子片を避けないのでは無く避けれ無いが正しいのかもしれない、もう、恭司しか見ていなかった。
恭司の側にたどり着いた凪は、雅臣を殴ったであろう恭司の右の拳を見つめて顔を歪ませた。
こんな事になったのは自分のせいだと罪悪感に苛まれ、そっとその手を自分の両手で包み込むと
「...ごめんなさいっ」とボロボロと泣きながら小さな声で謝った。
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