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頼み事にしおりをはさみました!
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頼み事
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「ああ、そうだ。本来の目的を忘れるところだった」
瀬良に時間の感覚などはないようで、俺の言葉を特に気に留める様子もなく話し始める。汐音は時折、冷たく突き刺さるほどの視線を瀬良に向けるものの、それ以上はなにも言わずムスッとした態度で俯いていた。汐音にとってはこれが精一杯の我慢なのだろう。
「菅野クンに重大な頼み事があるんだけど、聞いてくれる?」
「どうせロクな話じゃないんだろ」
「そんなことないって。人生最大のピンチなんだよ〜」
「…嘘くさ」
「ほんとだって。じゃないとあたし、また委員長に怒られちゃう」
「瀬良が悪いんじゃねぇか…」
「話だけでも聞いてよ〜」
子供のように駄々をこねる瀬良を見かねて汐音に助けを求めて視線を送る。
「……汐音…」
「…僕に聞いてどうすんだよ」
「勝手にしたら」と丸投げされた。
このまま放っておいたところで瀬良の駄々は次の休み時間、下校まで続くんだろう。だったら早々に話を聞いて、俺にできることなら手伝えばいいか。
汐音のためにもそれが一番手っ取り早そうだ。
「はぁ…それで、なんなんだよ? 俺に頼み事って」
そっぽを向いてしまった汐音にため息を一つつき、瀬良に向き直って先を促した。
できれば、この間のような見返りを求めるものでないことを祈る。
「お願いっ、勉強教えて♥」
「……え」
「……は?」
予想すらしてなかった返答に目が点になった。
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