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藤原碧の過去。②【先生目線】にしおりをはさみました!
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藤原碧の過去。②【先生目線】
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その後葬式が行われ。
皆が俺を、可哀想に可哀想にと言う。
可哀想にと言ったって、そいつらは何にもしてやくれない。
やっと高校1年生になった時には、自分が天涯孤独なんだと知った。
身寄りは誰も居なかった。
母と父が残してくれた財産でなんとか高校のお金を払って。
必死に勉強して、必死に金を稼いだ。
金を稼ぐためなら何でもした。
夜のショーで裸になれば、皆金をくれた。
プライドなんてなくて、ただ皆が好きな俺を演じるだけだった。
女も男も顔が良いというだけで寄ってきた。
そのくせ本性を知るとあっという間に逃げて行った。
その時、ある女が言ったんだ。
「あんたみたいな空っぽな人間、好きになるんじゃなかった!
そんな卑劣なあなたを好きになる人なんて、一生現れないわよ!」
彼女は泣いていた。
それでもなんとも思わなかった。
その代わり、言われたことだけはすとんと胸の中に残った。
その時思ったんだ。
ああ、俺はこの先誰も好きになっちゃいけない。
"誰も幸せになんてしてやれない。"
"誰もこんな俺を愛してくれない。"
母のおかげで、愛だの恋だのというものには、恐怖心しかなかった。
まるで、鎖のように重く感じるネックレスを見る度に思い出した。
自分の命を捨てても良いと思える人を作ることが、そんなに幸せなことなんだろうか。
俺の考える愛には必ずイコールで"死"が待っていた。
いつか消えてしまうのに。
そのせいで、確実に苦しむというのに。
俺は一生このままでいい。
ずっと、そう思って生きてきた、弱い弱い人間。
それが、俺だったから。
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