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1.秘密の手紙にしおりをはさみました!
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1.秘密の手紙
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「何、見てるんですか……?」
学校から寮の自室に帰ってきた僕は、目の前の光景を疑った。頭の中は疑問だらけだけど、とりあえず僕と栗原がいない間に荒川さんが僕たちの部屋を漁っていたことは理解できた。
荒川さんは、僕がこの寮で最も嫌っている上級生だった。荒川さんには、前々からセクハラのようなものを受けていたからだ。その類の嫌がらせは普通異性に対してするものだと思うけど、問題はそんなことではない。別に僕は同性愛を嫌悪しているわけではないのだ。
付き合ってもいない僕の身体を、指導という名目で会う度あちこち撫で回す。後輩という立場から、こちらが強く出られないことを利用してのことだ。挙げ句の果てには、僕と栗原の部屋まで漁り始めた。荒川さんがしてきたことは、相手が誰であろうと許されることではない。
それでも、今までの荒川さんは、僕にセクハラを咎められるとすぐに退散していった。それなのに今は、僕に見つかったにも関わらず不気味に笑っている。悪い予感に鳥肌が立った。
「中森、乳首を見せろ」
「嫌です」
いつも通り躱したつもりだったのに、荒川さんは逃げるどころか距離を詰めてくる。それに合わせて僕も後ろに下がった。
「俺の言うことを大人しく聞いたほうがいいんじゃないか?」
「僕はそう思いませんね」
僕が寮務の先生にこのことをちくれば、居場所がなくなって困るのは荒川さんのほうだ。それなのに、荒川さんはこんなにも堂々に迫ってくる。
僕の背中は既に、ドアにぶつかりそうになっていた。
――まさか、何か僕の弱みを握ったつもりになっているのか? 僕に握られるような弱みがあるのか?
「じゃあ、これを寮の奴らみーんなに読まれてもいいんだな?」
そう言って、荒川さんがポケットから取り出したのは、一枚の手紙。
「どれどれ。『僕は栗原が好きだ。いきなりこんなことを言われたら困るだろうけど』」
「やめてください!」
僕が栗原に向けて書いていた、ラブレターだった。
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