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2.見えない終わり10
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この手が栗原のものだったら。その声が栗原のものだったら。
最悪の初体験も、トイレで犯されたことも、全部相手が栗原だったら。
そう考えてしまう僕は、確かに栗原のことが好きなんだろう。ただ、どうしようもなく弱い人間であるだけで。
「んっ!?」
荒川さんは僕の言葉を全く聞き入れず、僕の唇に自らの唇を合わせた。それはほんの一瞬だったけど、全身に力が入らなくなって、ドアに背中を預ける。
この人は、まるでオマケのように僕の初めてのキスまで奪ったのだ。
ショックで何も言えない僕に、恍惚とした目の荒川さんが囁く。
「お前は俺のものだ……『悠生』」
いきなり下の名前で呼ばれて、鳥肌が立った。そんな風に僕を呼ぶ人は、両親と祖父母ぐらいしかいない。
「違う……違う……違います…………!」
僕は半狂乱になって何度も否定した。だけど、一体何が違うのだろうか。
弱みを握られたせいで逆らうこともできない。逆らうこと即ち、栗原のことを諦めるということなのだから。ただ、荒川さんが満足するまで、荒川さんの好きなように犯されるだけ。これではまるで僕が荒川さんのものみたいだ。
「ずっと可愛がってやるからな」
それが、僕にとっての死刑宣告だった。
荒川さんが僕の頬に口づける。気持ち悪い。心の底からそう思うのに、僕の身体は動かなかった。
ーーずっと可愛がってやるからな。
その言葉を、脳内で何度も反芻する。
この地獄は終わらない。荒川さんが僕に飽きるまで、ずっと。
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