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神様からの贈り物にしおりをはさみました!
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神様からの贈り物
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クラスの準備をしていると、クラス委員長の西園寺が、俺の肩を叩いた。
「なあ結城、一緒に買い出し行かねえ?」
俺は気分転換がしたかったので、いいよ、と答える。
こうして作業を一時中断し、西園寺と買い出しに出掛けた。
西園寺御影(サイオンジ ミカゲ)は、クラスで会長を除けば、一番仲が良い生徒だ。
取り巻きや親衛隊のように会長を慕ってはいるが、俺を恨んだり、危害を加えたりはしない奴だ。
西園寺は、買うものを書いたリストを見ながら、俺に言う。
「マスキングテープって...どういうのだっけか?」
「なんか...かわいい柄が描いてあるテープだろ?」
「かわいい柄ぁ?
お化け屋敷でそんなん使うかよ。
誰だよコレ書いたの...」
「お前じゃないのか?」
「違うよ。とりあえずコレは却下な。」
そう言って次のものを探し始める。
それはボンドだったらしく、見つけると、ポイポイと俺の持っているカゴに投げ入れた。
最初から俺は荷物係だったようだ。
二人で店内をぐるぐるしていると、棚の端から、見慣れたふわふわヘアーが見え隠れしていた。
俺のセンサーがそれを捉える。
「菅谷!!」
俺が声をかけると、そいつは驚いて振り返った。
「わあ!宗吉くんだ!」
俺の顔を見ると、パアッと明るい表情に変わり、こちらに走ってきた。
「宗吉くんも買い出し?」
「ああ...お前もか。
何やるんだっけ?」
「俺のクラス?えっとね、やきそばとか、たこ焼きとかの模擬店だよ。テーマがお祭りなんだ~」
どうやら菅谷のメイド姿は拝めないようだ。
そういえばメイド喫茶は松崎のクラスだった。
俺は松崎に心の中で舌打ちをする。
菅谷は「宗吉くんちはお化け屋敷だよね!楽しみだなあ...」と言って笑っている。
うう...可愛いぞ。
「結城ーコレ入れてー!」
俺がときめいていることも露知らず、西園寺が荷物係宗吉を呼ぶ声がする。
名残惜しいが、「あ、じゃあな。」と言い、菅谷と別れようと背を向ける。
すると、裾をくいっと弱い力で引っ張られる。
振り返ると、菅谷が「あのさ...」と小さい声で言う。
「宗吉くん...学園祭の当日、空いてる?もし空いてる時間があったら、俺と回らない?」
そして、照れ笑いをする。
「俺っち結構暇みたいだからさっ」
...ああ、どうしよう。
嬉しすぎて泣きそうだ...
去年の学園祭で菅谷と仲良くなったのを思い出す。
まさか1年後菅谷と回れるなんて、その時の俺は思いもしなかっただろう。
俺は「いいぞ...」なんてぶっきらぼうに答える。
本当は嬉しくて心の中はお祭り騒ぎだというのに。
菅谷は「やった!じゃあ、約束だよ。」と言ってにっこり笑って、一緒に買い出しに来ていたクラスメートの元に戻っていった。
ジーザス...素晴らしい贈り物をありがとう......
俺の目に、じわりと涙が膜を張った。
西園寺の怒声が聞こえる。
そんなにカリカリしていてはいけませんよ。
そうして幸せも逃げていくのです。
そんな風に俺は、安らかな笑顔を西園寺に向けた。
ガムテープで殴られた。痛い。
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