アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
忘れ物にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
忘れ物
-
「じゃ、僕は次の授業のところに行くね。バイバイ。」
ご飯も食べて、3限を一緒に受け終わった俺達。増村は直ぐに席を立って去っていってしまった。
しかし、その時にパサリと一冊の手帳が落ちた。それを拾って増村に渡そうとするも、教室からその姿が消えていた。
「ま、家も近いし、今日か明日渡せばいいか。」
俺は、少し厚みのあるそれを眺めた。最初の方の数枚がよれよれになっている。きっと、何度も開いたページなのだろう。一見本のように見えるそれは、タイトルが無くてただ白いだけ。メモか、もしくは日記だろう。この厚みだと、日記の可能性が高い。
あいつ、日記を付ける性格なのか。
そう思いつつ、中を見たいという衝動に駆られるのを必死で堪らえる。
ちょっとだけ。
ちょっとだけなら、見ても……。
とうとう、欲に負けた俺は最初のページだけ見てみることにした。
パラリ――
「え……」
そこには、”作戦集”があった。
----------------------------------
作戦集
田辺君を落とす!落としてみせる!その為にすべき事欄
・口調と仕草を可愛らしく!
・一人称は”僕”
・お弁当を作って家庭的な面を見せる
・一緒に授業を受ける
・一緒に帰る
・一緒にデートする
・
・
-----------------------------------
どうやら、俺を落とす為の作戦集らしい。項目のほとんどは最近あった出来事だった。それを見て気持ち悪いとか思うよりも、健気な姿を微笑ましく感じた。
作戦集には、まだ空欄もあった。きっと思いついたら埋めていくパターンなのだろう。
中身を見るのが面白くて、次のページもめくってしまう。そこにあったのは、反省とか思い出とかだった。
「マメすぎるだろう。」
何というか、初めて会ったあの日。君が告白してきたあの日、見た目と反して男らしい口調と強引さを感じていたのに、中身はこんな可愛らしいことをする子だったんだな。可笑しな奴。それでいて、もう俺にバレてしまっているという不器用さにも愛嬌を感じた。
ニヤニヤしながら、増村に”忘れ物をしているから、今日届けに来る”という旨のメールを送る。きっと今頃、この手帳のことであたふたしてるんだろうな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 19