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*番外編*お風呂に行こうにしおりをはさみました!
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*番外編*お風呂に行こう
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「大浴場いきてーなぁ」
亮平、純の二人と晩ご飯を食べていたら二人が俺の部屋に行きたいと言ったので、部屋にご招待。
三人、部屋でまったりと寛いでいた。
ちなみにマメは祐輔先輩のとこ。拉致されてった。純はマメがいなくてちょっとさみしそう。
マメってばモテモテだ。
テレビで温泉宿特集をしていて、おっきい風呂いいなーと思った俺は寮に大浴場があることを思い出す。
突然の俺のそんなつぶやきを聞いて、二人はキョトンとこっちを見た。
「まだ一回も行ったことねーし。
もう素顔バラしてるから気兼ねなく行けんじゃん」
あー、考えたらますます行きたくなってきた。よし、決めた。
「な、今日大浴場行こーぜ?」
二人は二つ返事でいいよって言ってくれると思ってたのに。
「会長に聞いてからにしたら?」
「うん、僕もそう思う」
そう返ってきた。二人とも苦笑い付きで。
「なんで?」
「いやさ。やっぱ自分の恋人の裸なんて、そうそう晒したくないだろ?」
「会長、聖夜のことになると心狭いしね」
なんて言ってくるから、とりあえず隆盛に電話をかけることにする。
今日出かけるって言ってたし、仕事中だったら悪いかな?
そう考えていたら、すぐに電話に出た隆盛。
『どうした?』
「ごめん、仕事中だった?」
『いや、ひと段落したとこだ』
「そっか。あ、あのさ。大浴場行きたいんだけど、行ってい?」
『駄目だ』
間髪入れずに、即答でそう帰ってきた。
「えー。でっかい風呂入りたいんだけど。な?いいだろ?亮平と純も一緒だし」
『それでも駄目だ』
「なんだよー。じゃあ隆盛も一緒に入ろ。何時に帰ってくんの?」
『……そんなに行きたいのか?』
「うん。」
すると電話の向こうから聞こえた、ため息。
うーん。やっぱダメ?
『……分かった。今から帰るから、待ってろ』
「りょうかーい!」
電話を切り、オッケーが出たことに俺は笑顔で二人を見る。
「今から隆盛帰って来るって。帰ってきたら、みんなでお風呂いこーぜ」
密かに気になってたんだよなー、大浴場。
俺はうきうき気分で隆盛の帰りを待つ。
「会長、聖夜には甘いよな」
「ねー」
二人がそう囁きあっていたのを、うかれていた俺は気づいていなかった。
++++++++
side Ryu
横を歩く聖夜は余程楽しみなのか、始終笑顔。
木崎と矢追が一応俺に聞いてからにしろ、と言ってくれたから電話をかけてきたが。
聖夜ひとりで考えついていたら、今頃聖夜だけで大浴場に行っていただろう。
大浴場なんて、お前が行ったら格好の餌食だろうが。
お前の裸なんて、他の野郎に見せたくもないってのに。
だが、こんなに嬉しそうにする聖夜を見ていると、頼みを聞いてやりたくもなる。
つくづく甘いな、俺は。
自嘲めいた笑いがこぼれた。
浴場に着いた途端、視線を集める俺たち。
木崎も矢追も、あまりここには来ないらしい。
かく言う俺も片手で足りるぐらいだ。
そして一番視線を集めている聖夜。
珍しいものを見る視線が多少、期待を込めた視線が大多数。
ちっ。
思わず舌打ちをしてしまう。
近くにいた数人が、そんな俺を見て慌てて顔を反らした。
聖夜は、ちゃんと自分の容姿が人の視線を集めることを自覚している。
日本人には珍しい銀髪、ガラス玉みたいな綺麗な翡翠色の瞳。
顔もやはり外国の血が混ざっているからか、少し日本人離れしていて抜きん出て整っている。
仕草や表情の違いで綺麗にも可愛くも見え、さぞ幼い頃からきっと人の視線を集めてきたんだろう。
聖夜は”人に見られる”ことに慣れている。
だが……慣れているからこそ、無防備だ。
今もそう。
周りの視線を感じているにもかかわらず、頓着せずに豪快に服を脱いでいく。
「どうかしたか?」
ちゃんと俺の視線にも気づく。
「……気にならないのか?」
ぐるっと視線だけで周囲を見回す。
「あ~、うん。慣れてっから」
なんて、案の定そんな応えが返ってきた。
はぁ。
ため息をついて俺も服を脱ぐ。
木崎と矢追は先に中に入っていった。
聖夜は、一応俺を待ってくれているみたいだが。
腰にタオルを一枚巻いただけの聖夜。
視線を送ってくる奴らに殺意がわく。
「行こ、隆盛」
そう言われて、俺は聖夜の後ろをついていく。
ーーー周りに睨みを効かせながら。
「すっげ。ホテルかここは」
聖夜が口をポカンと開けながら周りを見渡している。
ここには大小様々な風呂や、サウナまである。
床には御影石が広がり、他の装飾もどれをとっても、高級品ばかりだろう。
まぁ、確かに豪華すぎる浴場だとは思うが。
聖夜はすげーなぁと感心したようにつぶやき、木崎たちがいる洗い場の方へ歩いていった。
チラチラと。
ジトっと。
湯船に浸かる聖夜を気にする奴ら。
当の本人は、呑気に鼻歌なんて歌いながら、機嫌良さそうに顔を緩めている。
「会長……眉間にシワが」
木崎が苦笑いで指摘してくる。
「まぁでも、分かりますけど……」
矢追もチラリと聖夜を見て、やはり苦笑い。
「「アレは目の毒ですね」」
二人そろって、そうハモる。
湯の熱さに頬を赤らめ、肌も血色がよく、艶々している。
長めの髪はゴムでまとめ上げられ、そこから雫が滴り落ち、うなじをすべっていった。
「気持ちいいな、隆盛!」
「……そうだな」
と応えるが、正直俺はゆっくりと浸かれる気分じゃない。
未だ感じる視線と、ざわめき。
俺はぐるっと周囲を見渡して、聖夜に近づく。
肌と肌が触れるほどに。
「どうした?」
「いや、べつに」
そして聖夜のうなじに手を伸ばし、そこを撫でた。
「くすぐったい。なんだよ」
「泡ついてた」
嘘だがな。
「そっか、さんきゅ」
俺たちのやり取りを見て、周囲がざわめく。
こいつは俺のだ、手を出すな。
そんな意味を込めて、俺は再び周囲を見渡した。……威嚇、だな。
よし、先程よりも視線の数は減った。
+++++++++
「あ~、気持ちよかった!また行こうな?隆盛」
隆盛の部屋へと戻ってきた俺たち。
隣に座る隆盛を見上げると、渋い顔をしていた。
「嫌だったか?」
嫌なものを無理強いすんのもアレだし。
「嫌ならひとりで行くけど」
「……大浴場は嫌じゃない。お前の裸を見られるのが嫌なんだよ」
隆盛の言葉は、亮平が言っていたこととソックリ同じで。
隆盛がそう思うなら……大浴場には行かないほうがいいか……。
残念だけど、仕方ない。そう思っていると、隆盛の手が頭を撫でた。
「分かった、そんなに気に入ったんなら行っていい」
「いいのか?」
「ただし、俺がいるときだけだ」
「隆盛も一緒?ならその方が嬉しいし。さんきゅ、隆盛」
隆盛のOKも出たし、これからはたまに大浴場に行こう。
これからは大浴場に行く時は、体中にキスマークつけてやる
誰のモノか分からせるためにな
なんて隆盛が考えていたなんて知るはずがない俺は、これから先大浴場に行く前にはキスマークをつけられる事になるなんて……この時はまだ気づいていなかった───。
END
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