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第18章―虚ろな心―14にしおりをはさみました!
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第18章―虚ろな心―14
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ギュータスが退くとケイバーはナイフを彼に向けたまま軽くあしらった。
「大丈夫かクロビス?」
「ああ、なんともないさ。ただ大型犬にじゃれつかれただけだ」
クロビスはそう言って自分の長い髪を軽く片手でかきあけだ。ケイバーはその言葉にククッと笑うと彼に手を差し伸べた。手に掴まると床から起き上がった。
「大型犬ねぇ。ご主人様に手を出すなんて悪い飼い犬だな。俺達のご主人様なんだから大事にしろよ?」
ギュータスはケイバーの何気ない言葉に舌打ちして睨んだ。
「じゃれつくのも程々にしないと、ご主人様に嫌われるぜ? いや、もう嫌われてるかも知れないぞ?」
ケイバーは皮肉混じりに話すとナイフをしまった。
「――で、この騒ぎは一体なんだ? ジャントゥーユの野郎が首輪をつけたままさっきお前の部屋から飛び出して来たのを見たから驚いたぜ。もしかして、ああ言うのがアンタの趣味か?」
「なんだ。お前も混ざりたいのか?」
「いや、俺は遠慮しとく。でも見ているわりには楽しそうかも知れねえけどな」
「フフフッ。あの2人はみごとな犬っぷりだったぞ。とくにあいつの犬っぷりは面白くて傑作だった。命令したら悦んで私の足を舐めていたからな」
「ぷっ、マジかよ?」
ケイバーは彼からその話を聞くとプッと笑いながらギュータスに目を向けた。
「冗談でからかってやったら、いきなり私を押し倒してきたんだ。酷い奴だと思わないか?」
クロビスはケイバーの首に両手を回すと怪しく抱きつきながら笑って話した。魔性のような雰囲気を漂わせる彼に抱きつかれると満更でもない顔を見せた。
「たしかに悪い犬だ。しつけ以前の問題だな。なんなら俺がアンタのかわりに、お仕置きしておいてやろうか?」
ケイバーは満更でもない表情をすると、彼の細い腰を引き寄せた。ギュータスは2人が怪しくいちゃつくと、イラついた表情で部屋をズカズカと出て行った。彼が部屋を出て行くと、遠くで誰かが壁を殴る音がした。 2人はその音を聞くとプッと笑い合った。
「今の聞いたか? あれは相当、頭にきたんじゃねーのか?」
「フフフッ、知るかそんなこと。ほおっとけ、その方が面白いだろ?」
「あんたも悪だな」
彼のその話しにクスッと笑いを浮かべると、近くのソファーにドカッと座って片足を組んだ。クロビスはワインボトルを片手に飲むとそれを彼に渡した。
「おっ、上物のワインじゃねーか。ありがく飲ませてもらうぜ」
ケイバーは彼からワインボトルを受けとると、それを煽るように飲んだ。
「やっぱり上物のワインは美味いねぇ。さすがお坊っちゃまだ。ほかにワインはないのか?」
彼に何気なく尋ねると、クロビスは数種類のワインボトルをテーブルの上に並べた。
「すげーな、どれも年代物じゃねーか。どうしたんだこれ?」
ケイバーは並べられたワインボトルを手に取ると興味津々に尋ねた。
「どれもあのジジイのお気にのワインだ。死に損ないのアイツには、もうこんなの必要ないだろ」
「なあ、それってお前の親父さんか?」
「親父? フフフッ。冗談はやめろ。あんな奴、早く死ねばいいんだ」
クロビスはワインボトルを煽るように飲むと、ポツリとその事を彼に話した。普段とは違う彼の珍しい態度にケイバーは、何気なく尋ねた。
「お前さ。もしかして酔ってるのか――?」
「黙れ、誰がこんかワインごときで酔うか! 私はここの恐怖の支配者だぞ!」
ムキになって言い返すと飲みかけのワインボトルを壁に投げつけた。彼はどうみてもホロ酔いしているように見えた。
「お前、本当に大丈夫か?」
「うるさい! 私はここの恐怖の支配者だ! 恐怖の支配者は、私一人で十分だ…――!」
「おいおい……」
ケイバーの隣でその事を強気で話すと、クロビスは若干酔い潰れ始めた。
「なあ、ワイン以外に食べる物はないか?」
「あるぞ。ほら、ザクロだ。けっこうイケるぞ?」
クロビスは少し酔ってる雰囲気を漂わせながら、彼に果物を渡した。
「果物か。他にハムやチーズとかないのか?」
ケイバーはザクロを手渡されると一口かじってから尋ねた。
「あるわけないだろ。食べたかったら自分で食料庫に行って取って来い」
クロビスは彼にそう言い返すと、ホロ酔い気分でソファーに座った。
「食料庫がある場所ってもっと下のフロアじゃねーか。こんな時間に誰があそこまで行くか!」
「じゃあ、それで我慢するんだな……」
クロビスは少し酔ってる雰囲気を漂わせながら、彼にそう話した。
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