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夏の夕蝉3にしおりをはさみました!
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夏の夕蝉3
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「遠くへ行こうか」
なんて言ってみたけれどその本質をまだ君は知らない。
可愛くて可哀想でバカで愛しい俺の恋人。
簡単に言えば心中しようかという話だ。
いや、遠くへ行きたいのは本当だ。
だけど君も連れて行きたいんだ。何故ってそれは君を愛しているから。
君は君が望むならと可愛らしい事を言いついてきた。長い山奥へと続く
使われていない線路の上ひたすら歩く。
意識していた訳ではないけれど
まるで映画のスタンド・バイ・ミーのようだ。
君も似たような事を思ったのか。でも口は開かない。
おおよそ題名でも忘れているのだろう。
「どうしたの?」
尋ねるとただ笑い
「ううん。ただね僕らに似たような話があったよなって」
それに笑う。
「そうだね」
そして山奥の行き止まり。さぁ始めようか。
ゆっくりとナイフを取り出す。君は焦ったような驚いたような顔をしたがすぐに
元の顔に戻り愛おしそうに僕を見つめる。
それになんだか切なくてどうしようもない気持ちに襲われる。
「一緒に遠くへと行こう。ジョバンニとカムパネルラのように」
君のその一言にハッとしてしまう。気づいてしまう。
あぁそうか。君は俺とは来てくれないのだ。
どんなに願っても…。君が望んだって…。
僕らはスタンド・バイ・ミーではない。
銀河鉄道の夜なのだ。最後に二人は別れてしまう切ない結末の
銀河鉄道の夜。
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