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11年後③~パラレルペダル箱学編R18腐弱虫ペダル二次創作にしおりをはさみました!
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11年後③~パラレルペダル箱学編R18腐弱虫ペダル二次創作
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やあ久し振り。
この手紙が必ず君に渡ることを、俺は毫も疑わない。
いま、君はどうしてますか。
俺には窺い知ることができないし、君も探られることは望まないだろう。
だから俺は俺が見知ってることだけ書く。
小野田坂道はイギリスに渡って巻島さんのところで働いている。
休日には一緒に仲良く坂を上ってることと思う。
今泉と鳴子は国内の、別々の自転車チームに加入した。
総北時代とおんなじに、火花散らして毎度毎度先陣争いしてる。
段竹は、鏑木~そう、あの年銅橋君と、熾烈に争ったあの鏑木一差だ~が心身不調に陥ったのを支えて、二人で田舎に引っこんだ。
聞くところによるとマザ一牧場のあたりにいるらしい。
黒田君は洋南大の大学院にいる。
何かわけのわからない、理系の学問をつきつめてて、マサチューセッツ工科大学に、この秋から招聘されるらしい。
クライマーの方の新開君は結婚した。
来春子供が生まれるそうだ。
君にとても会いたがっていた。
本当のことだから書いておく。
葦木場はピアニストになった。
CDバリバリ売れてんのに、こないだマネージャーに稼ぎ全部持ち逃げされたと嘆いていた。
あいかわらずトロい。
そして銅橋正清。
聞いて驚け。
あいつ今年のツールドフランスでプリ・ド・ラ・コンバティヴィテ(敢闘賞)取ったんだ。
たった一枚一日だけだったけど、ドサール・ルージュ(赤ゼッケン)取ったんだぜ。
何をやってる泉田塔一郎。
あいつを飼い慣らしきってたおまえがどこでどうして迷ってる。
踏み出せ。
踏み出してくれ。
同じ大切な者を亡くした者どうし、生き残った者が歩かなきゃ、死んでったやつがかわいそうじゃないか。
俺はオリジナル自転車の製作工房を起こした。
千葉に来たら寄ってくれ。
店の名前はSHOP AOYAGIだ。
追伸。
杉森良を許してやれ。
あいつはもっと早くなる。
金ないから、ジャイアント乗ってるけど、あいつのマッチマシンは絶対サーヴェロだ。
サーヴェロだとお?
あの小僧がサーヴェロだとお?
認めない認めない認めない!
認めない!
地割りには行かなかった。
僕は十年間一度も近づかなかった場所へ行った。
新開家代々の墓所は、港の見える丘公園から程近い場所にあった。
前回来た時は、お母さんがボロボロ泣いてて、お父さんと悠人は涙をこらえていた。
僕は泣けなくて、今も…
やっぱり涙は出なかった。
手桶を手に辿りつくと、大柄な影が屈み込んで、両手を合わせていた。
「やっと来ましたね」
こちらを向かないで声をかけてくる。
獣のような髪型。
盛り上がった肩。
たくましい胸、締まった腰、馬力そのものみたいな腿。
銅橋正清が今振り向いた。
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