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僕の現実問題にしおりをはさみました!
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僕の現実問題
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目を開けた時、真っ先に入ってきたのは、やけに見慣れた天井だった。
確か屋上にいたはずなんだけどなぁ、とぼんやり思う。
白い、汚れなんてこれっぽっちもないような綺麗すぎる天井。
微かに香る桃の匂い。
ああ、病院だと、時になんの驚きもなくそう思った。
だって、理解なんてとっくにできてるから。
僕の体が、もうもたない事なんて。
その後入ってきたお医者の人に聞いた話だと、屋上で倒れてるところを巡回していた先生に見つけられて、救急搬送されたらしい。
十日間も眠ったままで、体も随分衰えていた。
壊れかけの体が元の体に戻れるわけもなく。
歩くことすら、できるかどうか。そう言われた。
「学校に行くとしたら、松葉杖……腕の筋肉も衰えてるから、車椅子になる。隠すことは、ほぼ無理だろう。」
無理、か…
「車椅子でもいいです。このまま、続けさせてください。」
約束はもちろん覚えている。
〝次倒れたら入院。〟
覚えてる。でも。
「お願いです。無茶なこと言ってるのも知ってます。でも、お願いです。」
ヒトミはきっともう大丈夫。
これは、僕のわがまま。
……まだ、アラシや如月先生と一緒にいたい。
出来れば、命が終わるギリギリまで。
「いいのかな?本当にそれで。」
「はい。」
上半身だけ起き上がったまま、目を決してそらさないで僕は言った。
「……そうか。」
お医者さんは、ダメとは言わなかった。
医者として、「いい」と言うのは無理なんだろう。
それでも、僕の意思を受け入れようとしてくれる。
なんて言ったらいいのかわからなくて、僕はただ深く頭を下げた。
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