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省みる
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潤が、服を着て、ようやく、森の世界の精霊から、現代の人間に戻ったようだった。
「ねえ、譲って人、どこに住んでいるのかな?」
「そこだよ」
潤は、庭の外灯があかあかと点いている、隣家を指差して答えた。
「あ、そうなんだ。そういうことか」
「うん」
僕と潤は、森の奥の、朽ちた礼拝堂の脇を通って、さっき、潤が、僕を押し倒した木の前に戻ってきた。
来た時は、潤にひどいことなんて、とてもじゃないが、できないと言っていたのに。
森の奥では、散々なことをしてしまった。
潤を責め、なぶり、いたぶった。
僕は、言葉、思い、行動で、罪をおかしました。罪深い僕をお許しください。
「ねえ、あの礼拝堂って、入れるの?」
「鍵がかかっているよ。入ってみたい?」
「うん」
「じゃあ、明日、行ってみよう」
「明日は、入れるの?」
「明日は、日曜日だから、開けるよ」
「ふうん。ちゃんと、礼拝とかがあるんだ?」
「ないよ。俺が鍵を持ってるだけ」
「どうして?」
「うちの礼拝堂だから」
「どういうこと?」
「曽祖父が建てた、私的な礼拝堂だから」
「すごいね」
「すごくないよ。建物だけで、信仰がないから。建物も、傷みがひどいし」
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