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清水 誠司 side.来宮 陣にしおりをはさみました!
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清水 誠司 side.来宮 陣
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「おはようございます。陣さん。」
爽やかな笑みを浮かべ、今回の主演の1人である柊が挨拶をしてくる。
「ああ、おはよう。」
柊は、俺の事務所の1つ下の後輩だ。
俺も今回『碧の涙』に出ている。
役所は柊演じる雫谷恭一郎の先輩刑事役「清水 誠司」だ。このドラマの数少ないセクシー担当?らしい。そういうを俺がやっていいのかが謎すぎる。
「陣さん、すごい衣装ですね。今回も。」
「ああ、露出狂かよって思ったよ。」
俺の今日の衣裳は黒いフリルシャツを第4ボタンまで外し、その上に豪奢な刺繍の刺してある白いロングジャケットを羽織っている、というものだ。
そして、女性でもないのに真珠のロングネックレスを首に二重に巻いている。
「誠司はどこを目指してこんな格好をしてるんだろうねぇ…。刑事なのに。」
「ははは。」
柊は乾いた笑いを返してくる。
今日は、舞踏会撮影の前に恭一郎と誠司の会話のシーンが入る。
俺はこんななりだが、柊は燕尾服をかっちり着こなしている。
「陣さん、柊くん!撮影始めますよー!」
撮影を始める前にメイクの最終チェックに入る。
「陣さん、誠司は透明感とツヤが命ですからね!お色気ムンムンでお願いしますね!」
パーマのかかった黒い髪を前髪だけ後ろに流し、唇には紅いグロスを薄く塗り、目元にはラメパウダーと強めのアイライナーを引く。
はっきり言ってきもいんじゃないかな…。
「陣さん、口あまり舐めないでくださいね。グロス取れちゃいますから。慣れないと違和感ありますからねー。」
いや、慣れててもおかしいだろ…。
「はい。」
「よし!完璧ね!蠱惑的なお色気男刑事清水誠司の完成!!」
「ありがとうございます。」
すっと立ち上がり、姿勢を正す。
肺に行き渡るように大きく息を吸い込む。
そして息を吐き出した時、俺はもう来宮陣ではない。
清水誠司だ。
「スタンバイよろしくお願いしまーす!!」
助監の声がして恭一郎とともに、指定の場所まで進む。
「3.2.1、アクション!!」
『なあ、恭一郎?』
壁にほんの少し重心を預けて艶然と恭一郎に微笑みかける。
カメラにこの艶めく紅い唇が印象的に見える様に口角を吊り上げる。
スタジオ中で息をのむ音がした。
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