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それを恋だと思ったらにしおりをはさみました!
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それを恋だと思ったら
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「俺だって、桜和が初めて好きになった人で、今まで人を好きになったことなんてなかった。だから俺もこの気持ちの証明なんてできない」
濡れた瞳をまっすぐ見つめたまま、頬に手を触れたまま、話す。
そもそも、誰にだって恋の真偽なんて証明できないんじゃないだろうか。
「だけど俺はこの気持ちが恋だと思う。だから俺は桜和が好きだ。それじゃ駄目なのか?」
「……あ、はは、駄目、でしょ……駄目だと……思うよ……? ……でも、それでいいのかなぁ?」
「いいんだよ。だって、誰かの苦しみを他の誰かがそのまま理解するなんてできっこないんだ。それなら、誰かの『好き』と俺の『好き』が同じとも限らないし、桜和の『好き』が同じとも限らないだろ」
桜和はまた泣き出した。声も嗚咽も出さなかったけど、涙を一粒零して頷いた。
「そうだね。神楽は、やっぱりすごいなぁ……」
頬を伝った雫が俺の親指に触れて、指と頬の間で潰れた。
「ありがとう、大好きだよ」
へへ、と笑って、桜和はそう言った。
「ああ、俺も、桜和が大好きだ」
どちらからともなく目を閉じて、キスをする。ふと桜和の手に握られたままのスマホを見ると、時計は午前零時を過ぎていた。
「あ……年、越しちゃったね」
「珍しい桜和が見れたからいいさ」
「あー……恥ずかしいなぁ」
ズッと鼻をすすって、桜和は困ったように眉を下げた。
「えっと……あけまして、おめでとう。今年もよろしく」
「ああ、こちらこそ、よろしく」
新しい年、俺達はもうすぐ3年生になる。
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