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発見*にしおりをはさみました!
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発見*
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唇を噛み締めてぎゅうっと目を瞑った時、至近距離でドゴッとすごい音がして、両腕が半ば引っ張られ気味に解放された。
目を開けると、回し蹴りのような格好で脚を高く上げたまま、肩で息をする桜和が立っていた。
「……ったた…………痛いなぁ、桜和」
「気付いてて受け身取っただろ」
蹴り飛ばされた割には怪我もなく、けろっとした和音さんが起き上がってヘラっと笑った。右腕の袖が少し汚れている。
「……やけに遅いから、どうしたのかと思って」
脚を下ろしてこちらを向いた桜和は、この時点で既に子供みたいに怒った顔をしていた。
──そして、和音さんが軽薄な笑みと共に立ち去って、今に至る。
「やっ、だ……! おうか、やめ……」
「やめない」
「〜〜〜ッ、う」
ぐり、と少し強く先を擦られて、桜和の腕に縋る手に力が籠る。
「っは、あ、ぁう」
眦に浮かぶ涙が生理的なものか、感情的なものか、自分でも分からなかった。和音さんが怖かった。桜和が助けてくれてほっとした。でも今度は桜和が怖い。
ついに、ポロ、と涙が零れた。一度耐えられなかったら、もう止まらない。二粒目がすぐに後を追って、もう片方の目からも涙が零れる。
今泣いていい人間は、俺じゃないのに。
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